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日暮れて道は遠し
透明水彩絵の具 その2
2015年07月21日
テーマ:テーマ無し
お客さんからよく出る質問のひとつに、透明水彩絵の具って、なにが透明なのか、というものがあります。つい「透明感の出せる」水彩絵の具だという説明をしてしまうのですが、じつは半分その通りで、もう半分は、きちんと説明しなくてはいけません。簡単に言ってしまえば、透明水彩絵の具に含まれる顔料の粒子がとても細かいものなのだ、という説明が実体に近いものです。では小学生が使うような普通の水彩絵の具は、粒子が粗いわけなのか、ということになりますが、そのとおりなのです。紙に絵の具で色をのせたときに、粒子の細かさが、具体的にどうちがってくるのか、どう発色の効果が異なるのかですね。普通の水彩絵の具は、女性が化粧するときの、ファウンデーションの厚塗り状態(いわゆる厚化粧)に近いものです。顔料の粒子が粗くできていて、肌の表面を全面覆ってしまい、肌のアラが隠されてしまうのですね。透明水彩の方は、顔料粒子がとても細かく、メーカーによりますが、20μm程度ともいわれています。で、紙に塗ったときになにが起きるのか。それは、たとえていうとひろい草原(紙)の中に、あちこちに岩(顔料)が点在しているような状態といったらいいでしょうか。ほとんど紙の表面が出ていて、顔料はまばらに散らばっているのです。けっして岩同士が積み重なり、岩場になっている状態ではありません。ほとんど草原なのです。ガラスに透明水彩の赤色を塗って、背景を黒くして撮影した画像が、下の画像です。撮影光が、顔料粒子で散乱されて白っぽく写ってしまっています。撮影光を当てないと、ほとんど何も見えなくなってしまいます。つまりほとんど背景の黒い色が見えているだけということです。つぎにこのガラスの下に紙を置いてみます。すると白い紙の表面からの光が絵の具を通して目に届きます。うっすらと赤い色合いが見えてきます。透明水彩による色彩とはまさにこれです。顔料の粒子は透明ではないけれど、背景が透けて見えているわけで、これが透明水彩と呼んでいる理由であると思われます。透明水彩で色を塗ったときの紙の断面構造は、次の図のようになっているわけです。ほとんど紙表面がそのまま出ていて、まばらに顔料粒子が散らばっている図です。(アラビヤゴムは顔料を練っている展開材)透明水彩で描いた絵画が明るいのは、紙の白さを見ているともいえます。透明水彩画は、この明るさが魅力のひとつです。この構造が、美しい重ね塗りや、明るい混色効果を生む出す理由にもなっています。つまり異なる色彩を重ねたときも、ちがう色の顔料粒子はそれぞれバラバラに独立に散らばっており、並置混色するというわけです。しかも明るさを保ったまま。それはちょうど液晶画面を拡大すると、光の3原色のピクセルが並置され光っているのと似ています。にほんブログ村
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