ほっこり

童話・みにくいアヒルの子 

2018年04月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:小咄

たくさんのアヒルが飼われている池がありました

そんな中、数羽の子を母アヒルが産みました

皆、親にそっくりのはずだと思いきや

1羽だけ兄弟と違った男の子が生まれました

色も違うし、みすぼらしく貧相な風貌でした

母アヒルはため息をつき

兄弟たちは彼を嫌って仲間はずれにしました

親子行列はいつも最後尾で

うまくエサにもありつけません

鳥の世界は厳しいのです

母親もそんなことはお構いなし

「ボクだけが皆とちがっている

だれも相手にしてくれない・・・」

彼は岸辺の草むらで今夜も家族から離れ

ひとりぼっちで夜空をながめていました

その時、近くの太い木の枝から声がしました

「坊や、どうしたのかい?」

フクロウのお爺さんでした

彼はお爺さんに事情を話しました

「そうだったのかい

それはボクにとってはつらいことじゃが

わざわい転じて福となる・・と言う言葉がある」

そう言い終わると自身の羽毛を1つ

アヒルの子に渡しました

「わしは福老じゃ

それを大事に身につけていなされ

きっと、いいことがある

時がくればわかることじゃ」

そう言い残すと飛び去っていきました

意味はわからなかったが

この子はそれを肌身離さず大切にしました

それから月日が経ちました

兄弟達や他の家族の子たちは

池のおじさんから与えられるエサをたくさん食べ

りっぱに成長しました

しかし、この子だけは相変わらずの姿でした

そんなある日、池の管理人達の会話

「今年もアヒルたちはエサをよく食べまん丸によく太ってくれた」

「そうですね!今年も出荷が楽しみです」

兄弟たちはペキン・ダックとして
市場に出荷されたのでした
そして、人のお腹へと・・・

「このアヒルの子だけは育たなかったなぁ〜」

「色も違うし、食べるにはまずそうだ」

「しかし、近所の人たちには人気者ですよ
珍しい!色違いで可愛いってね!
子供たちにも大人気ですよ」

「確かにそうだな。昨日も幼稚園の子達が
絵を描いてエサもやってたな」

「我がダッグ繁殖園の人気キャラとして育てましょう」

「そうだな。知名度も上がって商売繁盛になる」

彼は一躍マスコットとなったのです

日曜日には親子連れからエサをもらい

それはそれは幸せに

皆から愛され、可愛がられる

毎日を過ごしたとさ


おしまい・・・

中山 千夏〜あなたの心に

昭和生まれには懐かしい歌
https://www.youtube.com/watch?v=Hg-k1LVuc-E



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塞翁が馬

ぼてふりさん

月あかりさん、人生って不思議なモノで〜すね♪

ありがたいお言葉ありがとうございます

話にピッタリのイラストが偶然見つかったのでお借りしました。
イラストレーターと同じ事考えたのかな?

北京ダックは想定外だとは思いますが・・・

2018/04/10 01:42:21

人生は予測不能

月あかりさん

な〜んだ。そのまんまじゃん!思いきや

ところがドッコイ!!

福を運ぶ「福」郎さん登場。

いつの間にか素敵な童話に仕上がっています。

素晴らしいと思いました。

2018/04/09 17:07:47

ことわざ

ぼてふりさん

時にはお笑い抜きのこんな話も書いてみようかと
思った次第です。
題材はあくまでパロディですが・・・
時々、本当の創作も書いています。

2018/04/09 16:37:12

新知識を得ました

漫歩さん

「禍を転じて福と為す」とはこの小咄が出典だったのですね。

2018/04/09 14:33:59

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