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吾喰楽家の食卓

小さな“おもてなし” 

2017年08月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:生活

最近、膝の具合が余り良くない。
特に右膝が酷く、左膝より水が多く溜まっているのが、自分でも分かる。
そのことを、大学病院の先生に話すと、前回よりも丁寧に触診してくれた。
膝の曲げ伸ばしや、ひねったりして、どの状態が痛いのかもチェックした。
水の溜まり具合は、抜かなくても良い、ぎりぎりの線らしい。
「痛い思いをすることは、ないでしょう」と、水抜きも、ヒアルロン酸の注射もしなかった。
「今は、何もしないで、様子を見るのが一番です」と、自信に満ちた口調で云った。

現在の症状は、発症後、六ヶ月は様子を見る必要があるらしい。
その上で、改善の見込みが無ければ、外科的治療を検討するそうだ。
その手術の概略を、説明してくれた。
今、思い出しても、足の裏がムズムズする内容だった。
地元の総合病院では、碌に触診もせず、レントゲンの写真を見て、「近所の整形外科医院で、ヒアルロン酸を注射して貰いなさい」と云われたのとは、えらい違いだ。
出来ることなら、手術はしたくない。
でも、完治の道が開けたので、意気揚々と次の目的地へ向かうことが出来た。

目的地は云うまでもなく、根津の蕎麦屋である。
店先の葦簀の陰に置かれた縁台に、数人の先客が待っていた。
私に気が付いた店の人が出て来て、「満席なので、少しお待ち頂きますが」と云われたが、答えは、勿論、「待ちます」だ。
食いしん坊だから、美味しい物が食べられるのなら、炎天下、店の前で待つのもいとわない。
程なく、観光客と思しき外国の方が三人、近づいて来た。
女性は三十代前半、男性二人が三十代後半だろうか。
黒いジャージのパンツと、白いトップスの魅力的な女性に目を奪われた。

残念ながら、女性ではなく、地図のコピーを持った男性から、話し掛けられた。
「〇〇は、此処ですか?」
英語である。
「はい、此処です。でも、少し待つようですよ」
たどたどしい、日本語交じりの英語で答えた。
「待ちます!」
「では、店の人に話してあげます」
入口の戸を少し開け、店の人にその旨を話した。
到着順に店へ入れないと、気の毒だと思ったからだ。

「どのくらい、待つのですか?」
「約30分です」
「美味しいですか?」
「美味しいですよ」
男性は、再度、地図を広げ、根津神社を指した。
行き方を訊かれたと思い、手振り身振りを交え、説明した。
でも、彼の本意は違った。
「待つ間に、根津神社へ行って来ます」
今度は、自分の腕時計を指して、云った。

程なく、私の順番が回って来た。
狭い店だが、客席の数にしては、調理場の人数が多い。
直ぐに蕎麦は出てくるし、長居する客も居ない。
私が居るうちに、次々に客が入って来たが、彼らは来なかった。
三十分ではなく、二十分と云えば良かったのかも知れない。
思ったより、客の回転は速いようだ。
私が食べ終え、蕎麦湯を飲んでいるとき、店の人から、外国の方が戻って来たことを知らされ、礼を云われた。

店を出ると、彼らは葦簀の下の縁台に座っていた。
どちらからともなく、笑顔で右手を上げ、彼らと別れた。
ただ、それだけのことであるが、小さな“おもてなし”を実践した気分になった。
私は、英会話は全く駄目である。
でも、言葉を交わした以上、彼らに美味しい蕎麦を食べてほしくて、必死で意思の疎通を図った。
それが出来たのは、歳を重ねたことで、恥ずかしさを余り感じなくなったからだろう。
この歳にして、その気になれば、身振り手振りでも、何とかなることを知った。

   *****

写真
8月28日(月)の昼餉(もり蕎麦とミニ天丼)



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miniバラさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

昨夜は早寝したので、返事が遅れましたが、悪しからず。

蕎麦アレルギーとは、お気の毒に。

私は、若い頃はアルコールアレルギーでした。
皮膚の柔らかい部分が、真っ赤になり、その痒いこと。
蕁麻疹が出ても、飲み続けました。
その内、敵も諦めたのが、出なくなりました。
もっとも、人には勧められませんが。

2017/08/30 06:05:01

羨ましいです

miniバラさん

膝の痛みは同病相憐れむですが・・・
最近、腰痛もひどくて、あえて、ヨーガを始めました。時に痛み止めを飲みながら、そうしても動いたほうがいいと。

おいしそうな蕎麦は20歳で初めて食し、『それまでは麺嫌いで大きくなりました』大粒の
蕁麻疹が体中にでて、呼吸困難。
それ以来「蕎麦アレルギー」を認識して食べていません。

蕎麦なし表示のお饅頭も、ありのお饅頭も、リトマスしのごとく、喉がカッカと熱くなり、その判断をします。

蕎麦の、のど越しは、ソーメン、韓国レーメンで味わっています。
しかし、蕎麦を食べられる人が、夏はうらやましいです。

2017/08/29 20:46:13

ウイールマンさんへ

吾喰楽さん

症状が同じでも、原因は色々だと思います。

私の場合は、何かを入れることはないはずです。
膝関節の一部を削り、O脚を治したり、半月板の裏面の出っ張りを取ったりするらしいです。

でも、まだ手術が決まった訳ではありません。
今の状態が、いつまでも続いた場合の選択肢の一つです。
手術をせずに済むことを、願っています。
膝が専門で、各地の病院で出張手術をしている先生ですから、任せています。

2017/08/29 12:59:26

吾喰楽さん

ウイールマンさん

あのー 
私の友人が、やはり吾さんと同じ症状でした。
先日ランチを一緒にした時、手術の事を話してくれました。

何か10センチ程ひざを切開して、大きなタイタニアムのプレートを入れたそうです。

手術時間は何と3時間の大手術。

とても痛かったと話していました。又その後のリハビリもとても痛かったそうです。

彼は昔柔道でオリンピックに行くことを目指していた強者なのですが、リハビリの時のあの痛みは今まで経験がなかったそうな。

吾さん本当に大丈夫ですか。

もしリハビリの時は、車いすをもって一緒について行ってあげましょうか。

勿論実費は請求しますが。

2017/08/29 09:27:52

シシーマニアさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

今、考えれば、色々な単語が思い浮かびますが、その時は、全く駄目でした。
それでも、最低限の用は足りたので良かったです。

根津へ行く機会は、この先もありますよ。

2017/08/29 07:37:45

気持ちが通じるのは、

シシーマニアさん

お互いに嬉しいですよね。
助けて貰った方も、助けて上げた方も・・。

写真を見ると、つくづく寄れなかったのが残念です。
時間はあったのに、余りの暑さに、気力が失せてしまいました。

2017/08/29 06:39:01

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