雑記帳

哀愁 

2014年08月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:映画

時は、イギリスがドイツに宣戦布告した1939年、濃い霧にとざされたウォータールー橋の上で、1人の初老の男、ロイ・クローニン大佐(ロバート・テイラー)は、第1次大戦時代、若かりし頃のロマンスを淋しく思い出していた。

ーネタバレありー




当時、ロイがまだ大尉の頃、一人の若く美しい踊り子、マイラ・レスター(ビビアン・リー)とこの橋で出会い2人は互いに燃えるように惹かれあう。

しかし、2人が結婚しようとする矢先、ロイが急に出征しなければならなくなってしまう。
とり残されたマイラはバレエ団も辞めさせられて彼の帰りを待っていた。
しかしマイラは新聞でロイの戦死を知ってしまう。

傷心のマイラは生活苦も重なって仕方なく夜の女へと身を崩してゆく。
ある日、ウォータールー駅で死んだはずのロイが、突然、自分の目の前に現れて・・・。

この作品は究極のメロドラマといっていい程、私のお気にいりの作品です。
何度となく見るたびに、戦争によって引き裂かれてしまう、美男美女のカップルの哀れさと悲しさが見事に描きだされてます。
同時にこの映画は人間の運命、特に不運を残酷に描いてます。
この映画はヒロインのマイラを幾度となく苦しめます。
運命がマイラから背を向けているかのようです。

あと少しでロイと結婚できそうだったのにそれができない、ロイの出征を見送ったがために、マイラはバレエ団を首になってしまう。
マイラは食べるものすら、ことかく様になり窮地に陥いってしまう。
それでも、ロイの帰りを唯一の希望とするマイラ。
しかし、願いは空しく新聞の戦死者の中に、ロイの名前が!

それも、折り悪くロイの母親との初対面の時に、戦死を知ってしまい、母親の前でマイラは失態してしまう。

ロイの母親は息子の死を知らないので、「一体何なのだろう、この女は!」とマイラに不信感を抱いて帰ってしまう。
マイラはショックのあまり病に倒れてしまう等々。

中盤からのマイラは不運にもて遊ばれるかのように気の毒です。
その間、マイラの親友のキティが、マイラをけなげにも助けるのですが、いつしか彼女も食べていくために、夜の女に身を汚していってしまうのです。

彼女は、よくつぶやきます。「なんだかものすごく怖い、怖いの・・・」と。
キティのつぶやきが物語のラストの悲劇を暗示しているかのようです。

このキティ役のバージニア・フィールドが、あまりにも人がいいというか、聖女のようで泣かせられます。
自分の事より友達のマイラのために、生きてるような女性なのです。
「果たして、私は親友のために、ここまで自分を犠牲にできるだろうか?」とあえて考えたくもない事を、考えさせられる、そんな美しい心を持っているキティです。
バージニア・フィールド、彼女もすごく美貌の女優さんだと思います。

マイラはロイとの再会で、幸福をつかもうとします。
自らの卑しい過去(それが果たして、この時代本当に卑しいことなのか?)を忘れて、愛するロイの家に招かれて、ロイの家族、親戚、交友している上流の人々の中で、2人は軽やかにダンスを披露します。
踊る2人を誰もがお似合いのカップルだと認めざるを得ません。
しかし、ロイの叔父の温かい一言が逆にマイラの心の良心を、問いただせてしまうのです。
「ああ、やはりだますことはできない」と。

マイラは思い余ってロイの母親に事の真相を打ち明けます。
ビビアンのエキセントリックさがよく出ているシーンです。
私はロイの母親が余り好きになれません。
どこか彼女には偽善さを感じるからです。

本当に、聡明な貴婦人であれば、果たしてマイラの過去を知っても、黙って行かせたでしょうか?
上流階級の特権の中で暮らしている傲慢さがどこか出てる気がします。

突きつめれば、戦争が2人の仲を引き裂いた作品ですが、英国特有のプライドの高さが不幸を招いたという気もします。
もう少し、見栄を捨てて心のまま素直に甘えれば2人は幸せになってたのかもしれない・・・。

ビビアン・リーは「風と共に去りぬ」がとても有名ですが「哀愁」も素晴らしい演技だと思います。


霧のウォータールー橋にたたずんでいる年老いたロイは、独身だったのでしょうか?
私の想像(希望)では生涯、マイラだけを想って生きていてほしいものなのですが・・・。



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トラさん

ルツミンさん

コメントありがとうございます。
「君の名は」そうですね。多分「哀愁」を参考にしてつくったのかもしれませんね。(*^_^*)
岸恵子の“真千子巻き”流行りました。
綺麗な女優さんがこの映画には似合いますね。

2014/08/09 09:47:47

ビビアン・リー

さん

こんばんは。

ビビアン・リー、綺麗でしたね。

Waterloo-Bridgeを数寄屋橋に変えたら、「君の名は」のような感じでした(笑)

2014/08/04 22:23:57

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