雑記帳

男と女 

2014年07月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:映画

古い作品ですが、今見てもモダンでセンス抜群の映画です。
何よりも役者がいい。
A・エーメのアンニュイとトランティニャンの乾いた男臭さが最大の魅力。

ーネタバレありー

ウットリとするモノクロームとセピアトーンの美しい映像。
ドキュメンタリーのようなスピーディなカメラワーク。
有名なフランシス・レイのテーマ曲。
“ダバダバダ〜”と、なんともいえない不思議な曲です。

パリやドービル地方の街や自然の美しい仏映画らしい叙情的なシーン。
ドキュメンタリータッチのル・マン24時間レースやモンテ・カルロ・ラリーを折り込んでいて、シーン毎の強弱が絶妙にマッチしています。

私が最も惹かれる恋愛映画は、男と女が出会って愛しあうまでの過程を描かれた作品ですがこの映画は見事に的を得てます。

物語は、女は映画のスクリプター、男はカー・レーサー。
普通の日常とは別世界にいる二人。

ふとしたことで出会い徐々に惹かれあっていく。
その随所にちょっとしたエスプリもあります。
特に子供達と食べるレストランの二人のやりとりは面白い。
男が女の美貌を賞賛して「女優になりたいとは思わなかったの?」と問います。
女はさらりと「俳優はつまらない職業だわ」と否定します。
実際、監督は俳優の彼等に言わせているのだから、なんだか笑えます。

ストーリもすごくシンプルな構成で、二人の心理状態がこちらによく伝わってきます。

特に女は表情やしぐさだけで気持ちを表してます。
この辺のエーメの存在感はすごいです。

登場人物も極端に少ないのです。
主人公の男と女の他に、この二人の娘と息子。
そして寄宿舎の二人を引き合わせてくれた女の先生、それから回想シーンで出てくる二人が失くした夫と妻。
たった、それだけ。

この回想シーンはこの作品に大切なアクセントをつけてます。
特に女の亡き夫との回想シーン。

詩人でサンバを口ずさみスタントマンという一風変わった職についていた夫。
男は車の中で女に「スタントマンという夫の職業はともかく君の人生は平凡だね。」というのですが、
すかさず女は「他人には平凡でも私には、夫は特別。愛情は人を特別な存在に変えるのよ」といいかえします。

女にとって亡き夫の想いがまだ心の中に残っているのです。
これが後のラストの方での男と女のベッドシーンで女の行為を裏付けさせてます。

カー・ラリーの入賞のあと、女の思いがけない衝撃的な告白の電報を受けとった男はもういてもたってもいられず、愛車をすっ飛ばして女のいるドービルの街へと向かう。

このシーンは、男のモノローグと慌てながらもウキウキした滑稽だけど、愛に夢中になっている男性心理が微笑ましいです。

海岸遊びしている、女とその娘にクラクションを鳴らして(光らせて?)自分をわからせる。
このシーンもとてもお洒落〜。
そして二人は子供たちを寄宿舎へ帰して、ホテルに泊まって愛を確かめ合うのですが、女は・・・。

ここから先は、微妙な男と女の心理が交錯していきます。

女は過去を引きずってしまう。
男はそんな女を見て「よっぽど変わった亭主だったんだろう!おかしな男がモテるのさ」と落胆しながらぼやく。

私はこの作品、メチャメチャ好きなのですが、ラストシーンが逆の終わり方だったら、多分DVDは購入しなかったと思ってます。
恋愛映画で一番好きな作品です。



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トラさん

ルツミンさん

コメントありがとうございます。
そうですね、フランシス・レイとルルーシュ監督よく、コンビを組んでましたね。

>「スキャット」
“ダバダバダ〜”はスキャットというのですね。
教えてくれてありがとうございます。

2014/07/26 20:59:07

ダバダバダ

さん

おはようございます。

監督のクロード・ルルーシュ、見事でしたが、音楽のフランシス・レイも良いですね。

二人とも、この作品で初めて知りました。

初めて知ったと言えば、「スキャット」と言う言葉も、この作品で知りました。

2014/07/26 07:33:41

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