メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

人生日々挑戦

「錦秋の奥入瀬」 

2013年10月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:暮らし

 津軽弁に「ばふらっと」という言葉がある。その意味は、一様ではなく、幅広い。以下に示す。

? 物が「ばふらっとしている」のように、風でばふらばふらしている様子とか、大きめな服を着ているときの大きめ感といった物理的な状態を指し示す。

? 「ばふらっとした目標」のように、態様を示し、「 大体の・大ざっぱな・大まかな・ ざっくりした・アバウトな・ざっと・概略の・おおよその・ラフな 」といった意味である。

? 体調について「ばふらっとする」のように、体調がはっきりせず、ボーっとした感じであることを示す。

? 曖昧には、態度や物事がはっきりしないさまを表す意味があり、漠然には、ぼんやりとして、はっきりしないさまを表す意味があるが、これらの意味で「ばふらっとしている」を使う。

 このように、一口に「ばふらっと」といっても、さまざまな、いろいろな意味合いがあり、津軽弁は、奥が深い。

 
 日本全国の紅葉の見ごろは、9月最終週からの北海道に始まり、10月第一週からの岩手県の高地及び北陸や甲信越の高地と続く。以下順次、紅葉前線は、南下等をし、拡大していき、12月には終わる。

 紅葉の見方は、人によって様々であろうが、私たち津軽人に言わせれば、「ばふらっと」した紅葉は、良くない。

 この場合の「ばふらっと」は、先ほど述べた?の意味で使う。?の意味、つまり、はっきりしないさまを表す意味での「ばふらっと」だ。

 「ばふらっと」した紅葉とは、紅葉全体の色合い等のさまがはっきりしていない、換言すれば、色鮮やかでない紅葉のことであり、それは良くないということだ。

 しかし、青森県では、紅葉の最盛期に「ばふらっと」した紅葉を見ることはない。
 青森県の紅葉は、皆、色鮮やかなのだ。だから、「ばふらっと」した紅葉は、他県で目にすることがあるくらいだ。


 錦秋という言葉がある。「錦秋の候」の錦秋だ。錦秋とは、紅葉が錦(にしき)の織物のように色鮮やかな秋という意味である。

 錦秋は、我が青森県の紅葉を表現するためにあるかのような言葉だ。

 青森県の紅葉の名所は、いくつもあるが、代表例は、奥入瀬渓流の紅葉である。紅葉の種類は、ブナ、ナラ、トチ、カツラ、カエデなどで多彩だ。

 奥入瀬渓流の紅葉を語るとき、まずは、紅葉(こうよう)だ。錦秋の基本中の基本は、赤だ。奥入瀬の紅葉は、真っ赤、明るい赤、やわらかい赤、暗い赤など、幅がある。

 次は、黄葉(こうよう、おうよう)だ。奥入瀬の黄葉は、黄色、黄金色、黄土色、山吹色などであり、一様ではない。

 褐葉(かつよう)もある。奥入瀬の褐葉は、ブナやナラの葉が褐色つまり茶色味がかった葉色に変化する様を表す。

 ここまで、奥入瀬の赤色、黄色、褐色ときたが、これだけではない。

 樹々の緑、苔の緑が大事だ。これらの緑があるからこそ、樹々と葉っぱたちのコントラストで赤色、黄色、褐色が映える。

 このほか、奥入瀬渓流にしかない清流の水色と白色がある。それと、清流がぶつかる岩の濃いこげ茶色もある。

 奥入瀬渓流の紅葉を一枚の絵に描くとすれば、樹々3、葉っぱたち4、渓流3の割合になるだろう。

 葉っぱたちは、黄色系4、赤色系4、褐色2の割合がいい。

 これらのバランスが絶妙で、光の反射の妙もありといったところが「錦秋の奥入瀬」たるゆえんであり、それは、赤、黄、褐色、緑、水色、白色、濃いこげ茶色と光が織り成す錦の世界である。


 「住まば日の本 遊ばば十和田 歩けや奥入瀬三里半」
 これは、明治から大正にかけての高知県出身の文人、大町桂月が奥入瀬渓流を絶賛して詠んだ歌である。
 
 奥入瀬渓流は、十和田湖の子ノ口から流れ出て焼山までの14?の間続く。大町桂月の歌にあるように、奥入瀬の紅葉は、森林浴をしながら、歩き観るのが一番だ。

 まあ、全部を歩かなくても、「錦秋の奥入瀬」は分かる。同時に、「ばふらっと」した紅葉が良くないことの意味も分かる。その意味を分かった人は幸せである。

 そして、「錦秋の奥入瀬」は分かったが、「ばふらっと」した紅葉が良くないことの意味は分からないという人がいれば、その人も幸せである。なぜか。その人は、「錦秋の奥入瀬」に匹敵する紅葉ばかりを観てきたので、「ばふらっと」した紅葉を想像できないのだから。




 ブログにご訪問下さり、ありがとうございます。  

 私の人気ブログランキングへの応援のため、よろしければ、 
 ポチッと↓をクリックして下さると助かります。
 http://blog.with2.net/link.php?1546952 



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR





上部へ