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「上原浩治投手は遊びにきて遊ばない」 

2013年10月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 アメリカ大リーグのア・リーグのリーグ優勝決定シリーズ(7試合制)は、第6戦が10月19日、ボストンで行われ、レッドソックスが5-2でタイガースに逆転勝ちし、通算4勝2敗で13度目のリーグ優勝を成し遂げた。

 上原浩治投手は、9回に投げて無失点に抑え、胴上げ投手となった。リーグ優勝決定シリーズでは、5試合に登板して1勝3セーブ、防御率0・00という文句なしの成績で、シリーズ最優秀選手(MVP)に選ばれた。
同シリーズで、救援投手がMVPに輝くのは史上3人目であり、日本人選手では初のMVPだ。

 上原投手の投球の特徴は、「投げ急ぎ」である。

 そのいい例がリーグ優勝決定シリーズの第3戦だ。この試合で、上原投手は、1回1/3を1安打無失点2奪三振に抑えてセーブを挙げ、対戦成績を2勝1敗とした。
 上原投手は、1-0と1点リードした8回裏2死一、三塁の場面に救援し、4番フィルダーを3球三振に仕留めた。 試合後、「勝てたのでよかった。遊び球はいらないと思いました」と語っている。

 8回裏2死一、三塁の場面に救援し、4番打者を迎えて、ノーボールツーストライクと追い込んだときは、普通は、ボール球つまり遊び玉を一球投げる。

 しかし、上原投手は、遊ばないで、つまり「投げ急ぎ」をして、3球三振に切って取った。

 
 上原投手は、1999年から2008年までの10年間、読売巨人軍で、大部分はエースとして先発投手で活躍した。
 その頃は、大事な場面で、「投げ急ぎ」はせず、遊ぶところは遊んでいたように記憶している。

 2009年以降は、アメリカ大リーグに移籍し、初めは先発投手を務めたが、度重なる怪我に悩まされ、その後は、中継ぎ、抑えを務めている。
 読売巨人軍時代の晩年に抑えを務めた経験が生きている。人生、何が幸いするか分からないものである。

 大事な場面で、遊ぶところは遊ばず、「投げ急ぎ」をするということは、マイナスになるのではなかろうか。

 しかし、上原投手の場合は、そうではなかった。

 アメリカ大リーグでは、投手について防御率と並んで重視されるK/BBという指標がある。

 K/BBとは、奪三振 (K:strikeout)と与四球 (BB:Base on Balls)の比率である。四球1つにつき三振何個を奪えるかの比率になる。3.5以上で優秀と言われる。つまり、四球1つを与えるまでの間に三振を3.5以上奪える投手は優秀だというわけだ。

 例えば、この数値が1の場合は、投げるたびに、奪三振か与四球かのピッチャーであり、三振は奪うものの、四球を与え、ランナー二人のところでガツーンと打たれ、負けてしまう。

 奪三振と与四球は、守備や球場の影響を受けないため、K/BBは、シーズンごとのバラつきが小幅であり、投手の制球力を表す。
 K/BBの数値が3.5以上で高ければ高いほど、コントロールが良くて三振を多く奪える超優秀な投手ということになる。

 咋、2012年シーズンの上原投手のK/BBは、14.33だった。四球1つを与えるまでの間に三振を14.33個奪っているのだ。36イニングで130人の打者に投げて、与四球3、奪三振43の結果だ。
 この14.33というK/BBの数値は、近代野球が始まったとされる1900年以降、史上3位の記録だという。110年以上の大リーグの歴史において、並み居る名投手の中で3位の記録とは、大したものだ。

 上原投手が投げるストレートの球速は、平均で143km/hであり、大リーグでは遅い部類に入る。それだったら、ヒットを打たれてしまうじゃないか。ところが、そうではない。

 彼が投げる球種の割合は、ストレート53%、フォーク40%、スライダー7%だ。フォークは、落差が大きく、切れ味が鋭いから、なかなかバットに当てれない。

 全体の4割もがフォークだから、打者は、フォークが来る、フォークが来ると警戒し、及び腰になる。
そこへズバッとストレートが来る。
 そのストレートの球速は、実際は143km/hにもかかわらず、153km/h以上に見えてしまうという。

 しかも、高めのストレートは、伸び上がる。バッターにすれば、たまったものじゃない。バッタ、バッタと空振り三振が続く。

 上原投手は、ストレートとフォークのコンビネーションで、四球は与えず、三振は奪う。いい意味での「やらずぼったくり」だ。

 「遅いストレートをフォークという変化球でごまかして勝負していくごまかし投球である」旨、上原投手は、自ら語っている。
 しかし、上原さん、なんも、ごまかし投球じゃないよ。それこそ創意工夫のお手本であり、なかなか賢い投球だから、クレバー投球だよ。


 それにしても、上原投手は、与四球が極端に少なく、遊ぶところは遊ばず、言わば、「投げ急ぎ」をすることにこだわっているように見えるのはなぜだろう。

 この点については、上原投手は、自らの口で、次のように語っている。

? 34歳にもなってアメリカに渡ってきたのは、アメリカ大リーグの野球を楽しむためである。

? メジャーリーグの舞台では、勝負して楽しくやりたい。
  フォアボールを出したら、相手の各打者と勝負して楽しくやるのがそれっきりで終わってしまうかも知れない。だから、フォアボールを出すのがもったいないので、フォアボールは出さないようにしている。
  フォアボールは出さないで、真っ向勝負で楽しくやりたい。

? 真っ向勝負で楽しくやりたいので、全力投球だし、それで打たれてもいい。勝ち負けよりも、全力投球での真っ向勝負を楽しむことが大事。言わば、メジャーの舞台は、毎日が楽しんでやる娯楽だ。
 
 彼の口からの説明を聴いて、全部が分かった。

 上原浩治投手は、アメリカ大リーグで全力投球での真っ向勝負を楽しむために、彼の言葉を借りれば、娯楽のために、やってきた。大リーグに遊びにきたのだ。

 しかし、全力投球での真っ向勝負を楽しむためには、フォアボールを出すのがもったいないので、遊ぶところでも遊ばない。

 だから、「上原浩治投手は遊びにきて遊ばない」だ。
 
 メジャーリーグを舞台にした彼の言動を目の当たりにしていると、人生でいかに楽しむことが大事であるかが分かる。



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