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「高倉健さんとジェームズ・ディーン」 

2013年10月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 日本の俳優で誰が一番好きかと問われれば、躊躇することなく、高倉健さんを挙げる。
 
 「八甲田山」、「幸福の黄色いハンカチ」、「遙かなる山の呼び声」、「海峡」、「鉄道員(ぽっぽや)」など、健さんの出演作は、日本映画史上に燦然と輝き、名作は、枚挙に暇がない。

 高倉健さんが若い頃に出演した映画では、1965年の「飢餓海峡」における味村刑事役が最も印象に残っている。

 映画「飢餓海峡」は、水上勉原作の推理小説を映画化したものである。

 北海道の岩幌町の質店に押し入った強盗殺人犯の犬飼多吉を三國連太郎が演ずる。

 犬飼多吉は、犯行後、船で青森県の下北半島に逃げる。大湊で、左幸子が演ずる娼婦・杉戸八重と一夜を共にした犬飼多吉は、杉戸八重の境遇を憐れみ、大金を渡してやる。

 犬飼多吉が強盗殺人犯であることを露知らない杉戸八重にとって、犬飼多吉は大恩人である。
 客と娼婦の関係の二人は、一夜限りでバイバイする。

 10年後、杉戸八重は、ふと目にした新聞記事に載った京都の舞鶴の事業家・樽見京一郎の写真を見て、樽見京一郎があの犬飼多吉であることを発見する。

 杉戸八重は、大恩人の犬飼多吉・樽見京一郎を舞鶴に訪ねるが、強盗殺人犯であることの露見を恐れる樽見京一郎に殺害されてしまう。

 舞鶴の警察署の味村刑事を高倉健さんが演ずる。
 強盗殺人犯の犬飼多吉を追跡するも、捕まえることができずに北海道の警察署を退職した元刑事役が伴淳三郎である。

 舞鶴の味村刑事役の高倉健さんは、伴淳三郎の元刑事に頼んで北海道から来て貰う。二人が協力して、樽見京一郎が強盗殺人犯の犬飼多吉であり、杉戸八重の殺害犯であることを割り出す。
 
 こうした映画「飢餓海峡」は、水上勉の原作と相まって、日本映画史上の傑作とされている。

 この映画の当時、健さんは34歳であり、若き長身の健さんは、実に格好いい。

 そして、健さんは、82歳の今に至るまで格好いい。

 高倉健さんが好きなのは、格好いいからだ。至極単純明快である。

 
 映画の話は、太平洋を渡る。

 アメリカの俳優で誰が一番好きかと問われればどうか。これの答えもすぐに出る。ジェームズ・ディーンだ。好きな理由は、格好いいからだ。いたってシンプルな理由である。

 で、ネットでジェームズ・ディーンについて調べた。

 ジェームズ・ディーンの生涯は、1931年2月8日-1955年9月30日の24年間という短いものである。俳優として人気絶頂で、将来を嘱望されている最中に、突然、自動車事故で亡くなった。
 ジェームズ・ディーンは、アメリカ人としては、小柄な方だ。身長は、175cmしかない。こうした点も日本人には親しみやすいゆえんだ。

 ジェームズ・ディーンの代表作は、1955年の「エデンの東」や「理由なき反抗」、1956年の 「ジャイアンツ」などだが、作品数は多くない。

 ジェームズ・ディーンは、「理由なき反抗」の演技で1950年代におけるアメリカの若者の鬱屈や反抗を端的に表現した。このため、同時代の多くの若者は、ジェームズ・ディーンが演ずる若者の姿に共感し、その死は、彼らに暗い影を落とした。

 そして、その若すぎる突然の死と格好いいがゆえに、ジェームズ・ディーンは、時代を超えた青春の象徴となっている。


 今回、初めて知って、何よりも驚いたことがある。それは、高倉健さんとジェームズ・ディーンは、同い年だということだ。

 高倉健さんは1931年2月16日生まれ、ジェームズ・ディーンは1931年2月8日生まれで、ジェームズ・ディーンが8日だけ早く生まれている。
 太平洋を挟んだ日本とアメリカで、同じ月の10日足らずの間に、日米の名優中の名優が産声を上げているのだ。神様は、実に味なことをなさる。

 24歳で亡くなったジェームズ・ディーンが今まで生きていれば、どういう名優ぶりを見せてくれるだろうと思うことがあった。しかし、頭に浮ぶジェームズ・ディーンは、24歳のままで年を取らないのだ。

 しかし、今は違う。私たちは、格好いい高倉健さんの若い時から今日までを知っている。だから、高倉健さんの若い時から今日までに照らして、ジェームズ・ディーンに年を取らせることができる。

 そして、ジェームズ・ディーンも健さんに負けず劣らず、格好いい年の取り方をする。

 ジェームズ・ディーンがずうっと生きていれば、ハリウッドスターでもある健さんと映画で共演することもあり得ただろう。
 身長が175cmのジェームズ・ディーンは、身長が180cmの健さんを少しだけ見上げ気味に会話を交わすのだ。
 そうした二人は絵になるのだが、今となっては、観ることはできない。実に残念なことに。




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