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「新幹線でのばくはつ」 

2013年10月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:暮らし

 「馬鹿と鋏は使いよう」ということわざがある。

 「馬鹿と鋏は使いよう」とは、切れないハサミでも使い方によっては何かの役に立つように、愚かな者でも使い方がよければ役に立つということである。

 これは、使い方について言っているだけではない。人を使うときは、使われる人の能力を生かせるように、うまく使うべきであり、 人を使う側の能力が大事であることをも表している。

 「言葉は使いよう」という言葉もある。

 例えば、「頑張れ」という言葉がよく使われる。この場合も、「頑張れ」という言葉の使い方とともに、この言葉を使う側の能力が大事である。

 心の病気で落ち込んでいる人に「頑張れ」と言うのは禁句である。また、災害の被災地で復興に取り組んで疲れ果てている人に、「頑張れ」と言うのは、これだけ一生懸命に取り組んでいるのに、まだ頑張らなければならないかと落ち込ませることになりかねない。

 こうして考えてくると、「言葉は使いよう」は、簡単なことではない。

 「言葉は使いよう」は、言葉を使う側、つまり言葉を話す側の問題であるが、逆の側の場合は、どうなのだろう。
 逆の側とは、言葉を使われる側、つまり言葉を話される側だから、「言葉は聞きよう」については、どうなのだろう。

 「言葉は聞きよう」の聞く側は、受身であるから、言葉を聞く側の聞き方、理解の仕方の能力が大事であるという点がポイントになる。

 同じ言葉を聞いても、人によって、聞いた時の状況によって、受けとめ方、理解の仕方、理解の内容は違ってくるからだ。


 去る10月11日、ネットで時事通信からの次のような配信ニュースが流れた。

 東北新幹線で「爆発」騒ぎ=乗客聞き間違えか―栃木

 11日午前9時10分ごろ、東京駅発郡山駅行き東北新幹線「なすの253号」の乗客男性から、「男が『車内で爆発する』と言っている」と110番があった。

 列車は同32分にJR那須塩原駅で停車。栃木県警捜査1課員と那須塩原署員が乗客ら計72人を降ろし、約30分間にわたり車両を捜索したが、不審物は見当たらなかった。

 県警によると、酒に酔った男が車内で携帯電話をかけており、事情を聴いたところ、「小便がしたくてぼうこうが爆発しそうだと言ったかもしれない」と話したという。

 県警は通報した乗客による聞き間違いの可能性があるとみている。   

 この配信ニュースの記事を基に推理してみる。
 
? 携帯電話をかけている酔っ払い男は、「(ぼうこうが)爆発しそうだ」と言った。

? 乗客男性は、「爆発しそうだ」と聞いた。

? 正義感あふれる乗客男性は、「(爆発物が)爆発しそうだ」と受けとめ、そう理解した。
 
? (すわ一大事、乗客の命は俺が救ってやる)と思い、かの正義漢は、直ちに110番をした。

 まず、いくら小便がしたくてこらえ切れなくなっても、「ぼうこうが爆発しそうだ」という表現は、使わない。だいいち、ぼうこうが爆発するわけがない。爆発する前に、小便を垂らしてしまうからだ。

 百歩譲って、「ぼうこうが爆発しそう」なくらいの小便なら、携帯電話をかけるのを即刻止めてトイレ行きだ。

 だから、酔っ払い男は、「ぼうこうが爆発しそうだ」と言ったのではなく、「爆発しそうだ」と言ったのである。したがって、正義感あふれる乗客男性が「(爆発物が)爆発しそうだ」と受けとめ、そう理解したのには、一理ある。

 しかし、かの正義漢は、なぜ、直ちに110番をしたのか。東北新幹線内の安全管理、危機管理の任にある車掌に非常ベルで知らせるべきだ。車掌は、こういう場合に、初動対応としてどうすべきかも含め、専門職だ。

 車掌に非常ベルで知らせれば、現場確認をした車掌は、おそらく、専門職の勘で、相手が酔っ払いであること、「(ぼうこうが)爆発しそうだ」が酔っ払い男のたわ言であることを瞬時に見破ったであろう。

 それにしても、「爆発しそうだ」がぼうこうでないとすれば、爆発物でない何が爆発しそうだと言ったのだろう。朝っぱらから酔っ払っているような男のことだ。大方、かみさんの怒りが爆発しそうだということだろう。



 「言葉は使いよう」であり、言葉の使い方とともに、言葉を使う側の能力が大事である。

 「言葉は聞きよう」であり、言葉を聞く側の聞き方、理解の仕方の能力が大事である。

 しかし、残念ながら、今の日本人は、こういう大事なことを言っても、理解できない人が増えているのだろう。

 だって、「こんにちわ」という間違った表現を平気で使う人が結構いるんだもの。 

 「こんにちは」は、「今日(こんにち)は天気が良いですね」のような文が省略された挨拶の言葉であり、現代仮名遣いの決まりで、「助詞の『は』は『は』と書く」と決められているために、「こんにちは」と書き、「こんにちわ」とは書かない。
 「こんにちは」が正しく、「こんにちわ」は間違いなのに、平気で使う。

 それと、現代仮名遣いの決まりで、動詞の「いう(言)」は、「いう」と書く。「いう」と書くのであって、「ゆう」と書くのではない。
 例示すれば、ものをいう(言) いうまでもない 昔々あったという  どういうふうに 人というもの こういうわけ となる。

 そんなのどっちでもいいでしょ、と言う人がいるかもしれない。

 しかし、日本語を大事にする日本人なら、そんないい加減なことを言ってはいけない。


 

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私の経験

さん

おはようございます。
wasaoさんの文章を拝見して、自分の10年前位の事を思い出しました。

夫婦でサンフランシスコ空港行き列車に乗っていました。終点が近くなったのでドア付近に立っていました。何かの設備にデンジャーと書いてあったのでおしゃべりしながら何気なくつぶやいてしまいました。そうしたら周りにいた4〜5人の人がサッと振り向いたんです。普通の日本語のデンジャーで、決して英語の人がしゃべるような発音ではありません。

夫には『今一番人が敏感に察知する言葉なので不用意に口にだすのはやめなさい』と、たしなめられました。

反省しまして以後気を付けるようにしました。

2013/10/13 10:39:05

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