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読書日記
『こんな世の中に誰がした?』 読書日記363
2024年04月25日
テーマ:テーマ無し
上野千鶴子『こんな世の中に誰がした?』光文社(図書館)
この本も読んだのは書評がきっかけ。著者の本はきちんと覚えていないのだがこれで3冊目である。関連書としては遥洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』というのもあった。
amazonの内容紹介では
不均衡な社会に生きるすべての女性の人生に寄り添い、自身の贖罪とともにエールを送る、上野千鶴子渾身の一冊。 “わたしはこれまで何度も「どうせ世の中は変わらない」という諦めの声を聞いてきました。でも、そうでしょうか。(中略)あなたには、ほんの少しでも社会を変える力があります。いまよりちょっとでもマシな社会を、あとから来る人たちに手渡すために。”――序章より
(なお、この序章の全文抜粋がhttps://note.com/kobunsha/n/nfee11099e3a0に掲載されている)
ということになるが、ご存知の通り著者はフェミニストであり、ジェンダーを問題にし続けていて、その闘士である。そして、この本の内容を一言で言い表すとすれば序章の中の見出しの一つである「女の不幸の原因は社会構造にあった」ということになろう。
そのことを以下の章分けに従って詳述している。
Part1 仕事
Part2 結婚
Part3 教育
Part4 老後
終章 これからのフェミニズム
さて、本書を読んで言いたいことは判るし、その主張にもおおむね賛成できるのであるが、どこかにモヤモヤが残る。その自分自身のモヤモヤの理由を探ると…何となくであるが論の進め方(*)が粗雑であると感じてしまうからだと思った。論の前提を述べてもその前提が正しいとは限らないように感じるのである。ちなみに論理学では前提が偽(誤り)であればいかなる結論を出しても(その結論が正しくても誤っていても)その<論自体は正しい>のである。ただ、これは論理学を学んでいない方にとっては理解しにくいようである。
一例を挙げると「老後」の章は次の見出しに始まる。
再雇用制度は高齢者の「働きたい」意欲に答えていない ←確かにそういう事例も多いかも知れないが・・この話を良く読むと、定年退職した男性の話が主である。それまでに正規雇用されている女性は少ないと書いていたのに(つまり定年退職して再雇用される女性はどれだけいるのか?)肝心の女性はどこに行ったのか?それで、女性の老後とはどうなのよ? と、まあ、無理矢理に難癖をつけられるのである。
(*)「論理」という言葉を辞書でひくと、たいていの場合、第一義としてこの「論の進め方」という語釈が出る。だが、私は論理とはもう少し狭く「論理学」(ごく簡単に言うと思考の法則・形式を明らかにする学問)の意味に捉えたい
(2024年4月2日読了)
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