読書日記

『『まほろ駅前狂騒曲』 <旧>読書日記1584 

2024年04月26日 ナビトモブログ記事
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読書日記1584
三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』文藝春秋(図書館)

まほろ駅前シリーズの3作目にして最終作。今までの2冊と違って長篇である。今までに出てきたオールスターが入り乱れ、「狂騒曲」という題にふさわしいてんやわんや。

始めはおとなしく始まる。前作の終盤に出てきた柏木亜沙子と多田啓介が不器用ながら次第に接近していく。そこに、行天の元妻である三峯凪子から海外出張の間(約1ヶ月半)娘のはるを預かってくれと依頼される。しかも、はるが行天の娘であることを隠して・・無理だという多田の反対も空しくはるちゃんを預かることになるが、前作で子ども相手に錯乱した行天とともに果たして1ヶ月半もの長い時間を無事預かりきれるのであろうか。

さらに前作から時々出てくる無農薬農業を推進する団体(HHFA)が駅前を占拠しての宣伝活動を盛んに行う。一方で星はその集団を排除しようと、暗躍を始める。由良は塾での友人裕弥の母がこの団体に属し、農業の手伝いやら宣伝活動に参加させられることやら、弁当の内容が乏しいことやらを知って可哀相に思うがなんとも出来ない。

そこへ以前からバス会社が間引き運転をしているのではないかと疑い、何度も多田を使って運転実態を調べさせていた岡老人がいよいよバス会社に間引き運転を抗議しようと、近隣の知り合いを集めてなにやら行動を起こしそうだ。

星は駅前の集会を阻止しようと多田を含めて人を雇い、駅前広場にたむろさせる。一方、岡老人たちは貸し切りバスを観光旅行と偽って借り出してハイジャックもどきを行い、本社に突入して抗議活動を行おうとする。一方、行天は祐弥を救い出そうと塾講師を装って母親から引き離し折しも来たバスにはなも含めた3人で飛び乗る・・が、それは岡老人たちが借り出したバスであった。

そのまま、ハイジャック(実は行き先変更を指示しようとするが目的地が定まっておらず右往左往)して、成り行き上、駅前への道を走る。おりしも、星の雇った集団とHHFAとが駅前広場でもみ合い始め、そこに到着した丘老人の一行がはいりこんだから三つ巴の争いで騒乱状態となってしまう。

その騒乱状態の中で興奮したHHFAの若者が鎌を振り回し、行天の右手の小指を切り飛ばしてしまう。そこへ警察が到着して混乱は収まるが・・入院した行天は病院を抜け出し行方不明となる。

そうこうしているうちに三峯凪子が帰国し、多田とはるちゃんの別れの一幕があり、年末、多田が事務所を開いているビルで隣の借り手が出て行き、すぐ代わりに別の事務所が開く様だ。

大晦日にも関わらず隣の事務所は荷物の運び込みで騒がしく、一方で多田の事務所に見慣れた人たちが集まって年越しを祝っている最中である所に引っ越し祝いを持って隣の事務所の借主が現れる・・

話はこれからも続けられそうであるが、作者としてはこれで打ち止めにするのであった。なお、この話を原作として映画やテレビドラマが作られているそうであるが(題材はいかにもテレビ向けである)、私はまったく知らなかったしもちろん見てもいない。
(2021年10月12日読了)



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