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敏洋’s 昭和の恋物語り

[ブルーの住人]第三章:蒼い恋慕 〜ブルー・ふらぁめんこ〜 

2023年09月10日 外部ブログ記事
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(八)満月
 店をとびだした少年は「こんなはずじゃなかった!」と、自戒の念もこめてつぶやいた。
 あこがれにも似た感情だった。 未知なる、大人の女性への好奇心もあった。 おさなくして母親を亡くした少年には、異性が身近にいない。 ましてや、ネクラといわれる性格の故に、女ともだちもいない。
 下卑たわらいい声をあげているクラスメートの輪にも、はいれない。遠目に見るだけの少年だ。しかし不良のたまり場とされるあの店に行けば、異性とでも話をできる、そう思いこんだ。
 話をーどんなはなしを…?   逡巡していたときの、思いもかけぬ女からのことばに、ただただ混乱するだけだった。
 17歳 ―― Rolling Age 。
 翌日の夕方、Go−Go−Snackの店先で、ひとりのフーテンむすめが焼身自殺をとげた。遺書のないこの事件は、世界各地でひんぱつしていた「ベトナム戦争への抗議の自殺」と同列にあつかわれ、こぞってテレビで報道された。  しろい埃だらけのこの舗道を、笑いながらしかし涙をながす少年が歩いていたのは、この事件が報道された夜ふけのことだった。 月は、満月だった。?

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