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敏洋’s 昭和の恋物語り

愛の横顔 〜100万本のバラ〜  (七) 

2023年09月07日 外部ブログ記事
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 昨夜も口論となった。中食と称される総菜類をならべるユカリに対し「たまには料理ぐらいしたらどうだ!」と、松下がこぼしたことからの口論だった。家政婦じゃないんだから、と言いかえしたものの、おのれに非があることが分かっているユカリ、ただ泣き叫ぶしかなかった。「あたしがどれだけの犠牲をはらったと思っているのよ。ナンバーワンのあたしがおみせを辞めて、ここに来てあげたのよ」
 しかし松下の反応は冷たいものだった。「なにが来てやった、だ。頼んだおぼえもないのに勝手に住みついたんじゃないか。ナンバーワンだ? ほのかに追い抜かれて、KAYの三人娘にも追い上げられて、青息吐息だったろうが。ことみ・あかね、わかの三人だよ。おれの情報収集力をなめるなよ。投資というのは、情報が命なんだよ。そもそもあの店にかよったのは、なにもおまえが気に入ったからじゃないんだ。あそこにかよっていた、、、」
 話しつづける松下の言葉が、ユカリには届かなくなった。ナンバーワンではなくなっていたという事実、与えられていた特権を剥奪されたという事実、松下のもとににげこんできたという事実、それらすべてを見透かされていた。ユカリのプライドが、いま、ずたずたにひき裂かれた。
ふらふらとテーブルを離れ、寝室に閉じこもった。? さすがに言い過ぎたと感じた松下、ドア越しに「わるかった、ユカリ。言い過ぎたよ。こんど、食事に行こう。それからどうだ、もういちどパリに行かないか。明日にも相談しようじゃないか」と、声をかけた。
このことがあっての今日だった。楽しみにしていたユカリに対し、松下からなんの話もない。朝から夜になったいま今のいままで、株のチャート画面ばかりを見ている。 朝に声をかけたおりには、三台あるモニター画面のひとつとして、旅行会社のサイトは出ていない。ならば午後からにと思ってもおなじくで、そして夜になってもだ。きのうのことばはその場かぎりのことだったと、ユカリの気持ちが爆発した。

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