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敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 ご め ん ね…… 祭り (一) 

2023年06月26日 外部ブログ記事
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 岐阜市は揖斐・長良・木曽の三大川にめぐまれ水の恩恵によくしたものの、そのいっぽうで洪水になやまされつづけた。そんなこの地に水防の神さまとして、おおおくの信仰をあつめる伊奈波神社がある。主祭神は五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)だ。金華山のふもと近くに位置し、長良川の近くでもある。そしてまた駅前から東西をはしる二本の大通りをへだてて、金(こがね)神社がある。五十瓊敷入彦命の妃である渟熨斗姫命(ぬのしひめのみこと)が金大神としてまつられている神社だ。財宝・金運・商売繁盛の神さまとしてあつい信仰をあつめている。
 その金神社のけいだいととなりあわせになっている金公園での祭りに静子をさそった。かぞえきれないほどの夜店がならんでいて、それらの店から子どものなかに混じっておとなの歓声も聞こえてくる。そのなかでも射的の店は、黒山のような人だかりだった。 赤と白のコスチューム姿の人形を指さす子どもが、口を大きく開けている――そう、さけんでいる。「お父さん。あれだよ、あれだって。ウルトラマンだって! どこ、ねらってるの! おかしなんて、ぼく、いらないよ。お父さんのへたくそ!」「ばあか! お父さんはじょうずなの。あんな大きい物なんか、当たっても落ちないのよ。だから落ちそうな物をねらってるんじゃないの。ほんと、バカなんだから」「バカバカって、いうな! おネエだって、あたまわるいだろうが」「ふん。あんたよりは、ましよ」
 父親のうしろでふたりがいい争いをはじめた。いい負かされた男の子が涙目になりながらも、「おねえだってバカじゃんか!」と、なんども姉にくってかかっている。「ちょっと、ふたりとも。もう止めなさいって。笑ってらっしゃるでしょ、みなさんが」 母親が止めにはいらなければ、いつまでもつづいていただろう他愛もない口げんかだ。わたしと静子は顔をみあわせて笑った。いや、わたしたちだけではない。とり囲かこで見まもる人たちもだ。 しかし当の父親だけは、しんけんな顔をしてうちつづけている。いままさに、男の子がほしがるウルトラマン人形にむけて、何発もなんぱつもだ。
「やったぞ! 悟、落としたぞ。どうだ、凄いだろ!」 にがわらいの店主から受けとるさいの子どもの笑顔は、おおきく鼻をふくらませて得意満面だった。「あなた、いくら使ったの。ずいぶんと使ったんじゃない? ひょっとして買ったほうが安いんじゃないの」。なかばなじるような母親のことばに、「まあな。しかし父親の威厳が、このていどで買えればやすいもんだ。見ろよ、悟のよろこぶ顔を。店で買っても、こんなにはよろこばないぞ」と、喜色満面にこたえていた。

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