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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百二十八) 

2022年05月05日 外部ブログ記事
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「薫ちゃん、マネージャーを呼んでよ」。泣き顔をみせながら杉田が言う。素知らぬ顔で「どうして?」と女給がききかえす。「坊ちゃんの、初めてのキャバレーでこんな思いをさせられるなんて、実に情けない」「たしかに! あまりに失敬だ」。「我々だけのときでさえも、こんな場所には着かない」。小山と坂井がかみついた。杉田は怒り出した部下を、ただただオドオドと見るだけだ。正三自身も、この場所には納得がいかない。腹だたしくも思う。しかしここは、小夜子の働いてたキャバレーではないのか、そんな思いがわいている。すぐにも席を立ちたい、いや立たねば男がすたる、そう思う。しかしその裏では、小夜子の、ある意味神聖な場を汚してはならぬもそうも思えている。
 いつもは寡黙な津田が「いつもの料亭に行きましょう、坊ちゃん」と、席を立った。 料亭と言う言葉に、薫と呼ばれた女給のこめかみがぴくりと動いた。「お兄さん、なにを怒ってるの? この薫さんにおっしゃいな。たちどころに解決う! よ」「場所だよ。何が悲しくて、こんな所で飲まなくちゃいかんのだ。我々は、日本国家を支える官僚だ。さらには、この方は、未来の事務次官さまだ。官僚の頂点に立たれるお方だぞ」「そうだ! そのお方が、いつもの料亭をやめて、庶民の娯楽場なるキャバレーに来られたのだ。それをだ、このような便所」「けしからん!いくら課長の店といえども、けしからん!」と、山田を制して坂井が声をだした。そして次には上本が、最後に小山が吼えた。
「薫ちゃん、何とかならないだろうか? この佐伯君はあたしなんかとは違い、由緒正しき方なんだ。店にとって、決して損にはならないお方だ。なにせ、毎夜のごとくに接待攻勢を受けているんだから」 次々に席を立つ部下をなだめながら、手を合わせんばかりに杉田が言う。女給の薫にしても、こんな狭いテーブルに7人を案内したことには合点がいかない。
“空いている席に案内するだけなら猫にもできる。差配のセンスの欠片もないボーイは、田んぼのかかしより始末がわるい” 腹が立ってきた。“マネージャーはなにをしているの。あたしでは手に負えない状況だということが見えないのか。いつ客足が途切れるかもしれないっていうのに”

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