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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百五十)
2021年10月20日
テーマ:テーマ無し
その夜、夢を見た。
いや、夢であってほしいと、切に願う正三だ。
じっとりと首に汗を掻いている。起き上がった布団の上で「あり得ない、あり得ないことだ」と、何度も頭を振った。
夢の中の、久方振りの小夜子は銀幕のスターかと見紛うほどに、光り輝いていた。
傲然と正三の前に立ち、居すくまる正三を見下ろしている。
大きく胸元の開いたドレスに身をまといーそう。あの折の、百貨店でのファッションショーのポスターにあったドレスを身にまとっていた。
軽く顎を上げて左肩をほんの少しいからせて、両手を腰に当て左足をすりだしている。
「これまでね」とでも言いたげにうっすらと開けられた口が呟いている。
「許してください、本意ではありません。
僕の預かり知らぬところの、出来事なのです。酔っていたのです、前後不覚になっていたのです」
「そうだ! プロジェクトです。僕、叔父さんの引き立てで、秘密プロジェクトに参加しました。
幹部候補生になるべく、道が用意されているんです」
「来年には東京大学に入ります。卒業後には、主査職あたりに付く筈です。
次官になるべく、小夜子さんの為に日々奮闘しているんです」
「小夜子さん、お願いです。許してください、気の迷いなんです。
そうだ、きっと同僚に仕組まれたのです。僕には何のことか分からぬ内に、なんです」
そんな弁解の言葉を並べれば並べるほどに、深みに入ってしまう。
必死の形相で、懇願する正三。もの言わぬ小夜子に、手すら合わせる。
しかし小夜子の表情は変わらない。傲然と立っている。
正三は、蛇に睨まれた蛙そのものだ。未練だと分かってはいる。
しかし忙しさにかまけて、ないがしろにしてしまった己が怨めしい。
「正三、正三。小夜子は止めておけ。お前には似つかわしくない。お前の伴侶は、源之助に任せてある」
父親の声が、天の声となって降りてくる。
「どうだ、正三。お前の伴侶を連れてきたぞ。お前にぴったりだ」と、今度は源之助の声がする。
「坊ちゃん、正三坊ちゃん。大丈夫ですか?」
かっと見開いた目に、先夜の芸者が飛び込んできた。
「な、なんだ。どうしてお前がここに?」
先夜の芸者の顔が、正三におおい被さるようにあった。
「な、なんでお前が!」
「あらあら、ご挨拶ですこと。夕べ、他の座敷に居たあたしを、無理矢理呼び出したのは? 一体どこのどなたさまでしょうかね?」
「呼び出した? ここは宿舎じゃないのか?」
慌てて飛び起きる正三に、芸者が勝ち誇ったように言う。
「相当にお酔いになってらしたのに、夕べはほんと、お元気でしたわ」
「ち、ちょっと待て。確か昨夜は……。うむ、そうだ。
ここは橘屋か? 叔父さん宅を出て、宿舎に戻って。
そうか、ここに来たんだ。で、酒を用意させて……」
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