ほっこり

少女のいい話 

2019年12月05日 ナビトモブログ記事
テーマ:男もすなる日記



江戸時代のお話


京都・丹波の山奥に貧しい姉妹がいた。
姉は十七歳、妹は十歳。
父を失い、母と三人暮らし。
姉妹で薪を採り、果物を売り歩くが極貧だ。

ある時、姉が涙をうかべて妹に言った。

「このままでは母を養えない。都には人商人(ひとあきんど)がいるとか。この身を売って母を養おうと思う。おまえはまだ小さいけれど、母を大切にしてね」

姉と別れたくない妹もしくしく泣いた。

その日から、妹は村外れのお堂に七日間の夜参りをした。だが満願の夜、悪いことにお堂に二人の盗賊がいた。
しかし、妹は怖がる様子もない。
盗賊の横で一心にご本尊を拝む。
不思議な少女の出現に、盗賊はかえって気味悪くなり、

「何の祈願か。言え」と脅した。

「父が死に、田畑も売ってなくなったの。それで姉は京へ身を売って母を養おうとしている。母は養いたいけど、姉には身を売らせたくない。でも、私は小さいから何もできない。それで、神仏に、私の命をさしあげますから母と姉をお助け下さいって祈ってたの」

二人の盗賊はそれを聞き、何を思ったか

「自分は旅の商人である」とうそをつき、盗んだ金銀をことごとく風呂敷に包んで少女に渡し、どこかへ去っていったという。

・・・

皆さんはご覧になっていかがでしたでしょうか?
江戸期の随筆に書かれていた実話です。(1800年代)



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吾喰楽さんへ

ぼてふりさん

文七元結も面白くていい噺ですね。
人情話の傑作中の傑作で、芝居で演じられる機会も多いと聞きます。
ばくち好きの左官の長兵衛、女房、娘のお久、吉原の女将、近江屋と奉公人の文七

自分から身売りしようとしたお久、正直者の文七、命を救おうとした長兵衛、着物を脱がされすっぽんぽんになっていた女房・・・
落語ならではのお話・・

よくできた噺だと思います

2019/12/05 19:19:45

漫歩さんへ

ぼてふりさん

現代の世相では考えられない話です。

私なんか信心深くもないし、神仏からはとっくに見捨てられてると思います。

私も基本的に「性悪説」の立場です。

「罪深き者、汝の名はぼてふりなり」

2019/12/05 19:03:25

性善説

吾喰楽さん

人情噺の「文七元結」(ぶんしちもっとい)を彷彿させます。

娘は金に困った親のために、吉原に50両で身を売ります。
その金を、父親は身も知らぬ他人を助けるために、使ってしまいます。
それからが、大騒動。
でも、ハッピーエンドなのが救われます。

私は、性善説派です。

2019/12/05 19:03:24

月あかりさんへ

ぼてふりさん

妹が大金を持ち帰り、母と姉はかなり驚いたでしょうね!神仏のご加護と思ったでしょうか。
姉妹はその後も孝行に励んだと私は信じます。

2019/12/05 18:59:10

ピコチャンさんへ

ぼてふりさん

ご本尊様が少女の祈りを聞き入れて、よりによって盗賊をお使いになったのでしょうね。
盗賊二人も善行を施して、しばしの満足感があったやもしれません。足を洗ったかどうかは定かでありませんが・・。

2019/12/05 18:55:37

真心にうたれて

漫歩さん

私の人間観の基本は性悪説ですが、それを揺るがすようないい話です。

よく発掘されましたね。

2019/12/05 17:23:55

実話

月あかりさん

鬼の眼に涙(広い解釈で)とか、義賊とかありますが
日本人の人情、ここに極まるのではないでしょうか。

下世話な考え方をすれば、身売りするほど極貧の
女家族に。いきなり金銀が与えられてからが怖い
ような気もしますが。お話はめでたし、めでたしで
気持ちよく終わるのが良いですね。

2019/12/05 17:23:42

旅の商人

さん

心が温まるお話しですね。

2019/12/05 17:21:10

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