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吾喰楽家の食卓

三遊亭円丈 

2019年09月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

国立演芸場では、いつ頃からか知らないが、9月の上席は昔昔亭桃太郎、中席は三遊亭円丈がトリを務めている。
何れの師匠も、協会を代表する新作落語の噺家と言って良いだろう。
とはいえ、ここに通い始めた年は、何れの公演も見なかった。
新作落語を避け、国立名人会や特別企画公演を見ていた。

2016年9月中席が初めて見る円丈師の高座だったが、その気になった経緯は覚えていない。
新作落語の『新寿限無』を口演したが、懐にはカンニングペーパーを忍ばせていた。
自分で作った落語なのに、忘れることを不思議に思った。
翌年も、自作だと思うが、『金さん銀さん』を、名古屋弁で熱演した。
昨年の9月中席は、私が行った日は林家正雀の代演だったので、円丈師を見ていない。

空席が目立つ、今年の中席初日だった。
それでも、円丈師が高座に姿を現すと、熱烈なファンが多いのか、あちこちで声が掛った。
ところが、定位置に座った師匠の顔を見て驚いた。
口の左側が酷く引き攣り、声が掠れていたのである。
「歯が抜けてしまったが、中々、治らなかった」と、マクラで言い始めた。
どうやら、インプラントが駄目になったらしい。
やっと、その処置が終わり、歯医者から直行したようだ。

徐々に引き攣りが治まり、声も出るようになったのは、麻酔が醒めてきたのかも知れない。
持ち時間をマクラで稼いでいるような、高座だった。
中席に備えての練習は、全くできなかったらしい。
このままで、高座を下りる訳にはいかないと、師匠自身も考えたようだ。
一昨年と同じ、『金さん銀さん』が始まった。
時間にして十数分だと思うが、流石はと思わせてくれた。
体調が悪い中での熱演に、私を含め、場内の客は惜しみない拍手を送った。

場内から出ると、高座を下りたばかりの円丈師が、弟子の究斗師を従えて楽屋から出てきた。
ロビーで、自身の著作を販売するのだ。
二人に道を譲り、「お疲れ様でした」と、声を掛けた。
師匠は、多少、口の引き攣りが残っていた顔で、嬉しそうな顔で会釈を返してくれ、ロビーへ向かった。
売っていた本は、二冊とも過去の公演で買っているので、その場を離れた。
師匠は、学齢で言えば、私より僅か二年先輩にすぎない。
まだまだ、頑張って欲しい。

※『円丈とり日記』
http://enjoo.com/rakugo/rakugo/tori/2016tori.html

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写真
9月12日(木)の昼餉(栗御飯)と夕餉(金目鯛煮付)



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