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敏洋’s 昭和の恋物語り

えそらごと  (二十六) 

2018年12月04日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「俺の運転、恐かった?」

 真理子は何も答えない。
薄暗い灯りの下で、じっと俯いている。
少し間を置いてから、ようやく重い口を開いた。

「わたし、こんなことを、ご本人に向かって言っていいのかどうか分かりませんけど。
でも、やっぱり言います。
でも、気を悪くしないでくださいね。
わたし、自分が不良のように思えるんです。
無茶な運転の車に乗っていたり、暗いプラネタリウムに入ってみたり、で」

(不良だって、俺が?)
しかしつらつらと考えてみるに、そう思われるのが当たり前のような気がしてきた。
ポマードをしっかり使って、エルビス・プレスリーばりのリーゼントスタイルに髪を整えている。
不良っぽさを意識した言葉遣いで話しているし、口ずさむ歌と言えばロックンロール系が多かった。

「日ごろの行いって大事なんだよね」

そうつぶやく岩田の顔が突如浮かんだ。
「年寄りみたいなこと言うなよ」と反論したものの、確かに損をしていると感じる彼だった。
同じようなミスをしても、岩田なら仕方ないさとかばわれ、彼のミスには「集中心が足りない」と、小言になる。

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