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「火の息に眼鏡曇らす」 

2016年11月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:俳句ポスト投稿

 最近、俳句作りがとみに盛んになってきているという話を聞く。それは、俳人、津軽わさおとしても、嬉しい限りである。

 そんな中、全国の俳句作りのサイトで最も熱気に包まれているのは、「俳句ポスト365」であろう。「俳句ポスト365」は、愛媛県の松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。

 「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。入選の「天、地、人、並」の内訳は、各回、天の俳句1句、地の俳句9句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句だ。

 人選と並選の入選句といえども、全体3,000句程度のたった17%にすぎない。

 天・地の俳句になると、全体3,000句の中で10句だ。これは、至難中の至難である。津軽を拠点とする俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による天・地の俳句への挑戦は、これまで29回を数えるが、前々々回、26回目にして初めて、天・地の俳句のうちの天の俳句に入ることができた。


 直近の「俳句ポスト365」の第157回 2016年10月6日週の兼題は、「波郷忌」である。兼題の説明に曰く。

波郷忌(冬の季語)11月21日。昭和44年のこの日に56歳で亡くなった、石田波郷の忌日。大正2年(1913年)3月18日愛媛県生まれ。「忍冬(にんとう)忌」「風鶴(ふうかく)忌」「惜命(しゃくみょう)忌」とも呼ばれる。

 兼題「波郷忌」に係る天選1句と地選の9句を以下に掲げる。

 火の息に眼鏡曇らす波郷の忌   天選  魚ノ目オサム    
 

 波郷忌の仰臥思はぬ骨の鳴る   地選  希望峰    

 波郷忌の日時計となる薬瓶   地選  スズキチ   
  

 波郷忌の鉛筆錐の如く削ぐ  地選   めいおう星     

 波郷忌の呼気に湿りてゆく硯   地選   Y音絵
    
 波郷忌や手紙に慣れぬ詩を書けば  地選   田中憂馬        

 波郷忌やみどりの夜の詩は淡し   地選  土井探花     

 二音残し止む波郷忌のオルゴール   地選  このはる紗耶
 

 波郷忌や水とグラスに灯はわかれ   地選  すな恵
     
 波郷忌の桃の缶詰今日開けよ    地選  トポル         

    
 そして、以下に掲げるのは、俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による人選1句、並選4句である。5人全員での人選1句、並選4句は、俳句集団結成後1年2か月の初心者集団としては、健闘である。

 素うどんの醤油匂うや波郷の忌    人選  野々原ラピ

 石鎚も岩木も晴るる波郷の忌    並選   津軽わさお  

 修験者の山の荒行波郷の忌    並選  津軽ちゃう 

 波郷忌に登る石鎚小屋の句会  並選  津軽まつ 

 波郷忌や連絡船の銅鑼が鳴る    並選  篠田ピンク  

 
 以上のように、天・地の俳句と並選の俳句を並べてみると、違いがある。
 

 どこが違うのか。天・地の俳句は、着眼点が独特であるし、表現の仕方がいい。それによって、読者が感じるなるほど感と味わいが深い。

 だから、いい俳句を作るポイントは、できるだけ独特な着眼点で、できるだけいい表現で、できるだけ読者のなるほど感と味わいを深めることにある。

 「俳句ポスト365」の選者にして、今をときめく俳人、夏井いつき先生のお使いになる表現をお借りすれば、天・地の俳句は、「発想のオリジナリティと描写のリアリティ」に優れ、「上質な詩になっている」、ということであろう。

 で、今回の天・地の俳句における創作上の特徴を挙げれば、天・地の俳句10句とも、おしなべて「季語との距離間」がとても近いことである。



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