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「蘆がくすぐる若い夕陽」 

2016年11月11日 ナビトモブログ記事
テーマ:俳句ポスト投稿

 最近、俳句作りがとみに盛んになってきているという話を聞く。それは、俳人、津軽わさおとしても、嬉しい限りである。

 そんな中、全国の俳句作りのサイトで最も熱気に包まれているのは、「俳句ポスト365」であろう。「俳句ポスト365」は、愛媛県の松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。

 「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。入選の「天、地、人、並」の内訳は、各回、天の俳句1句、地の俳句9句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句だ。

 人選と並選の入選句といえども、全体3,000句程度のたった17%にすぎない。

 天・地の俳句になると、全体3,000句の中で10句だ。これは、至難中の至難である。津軽を拠点とする俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による天・地の俳句への挑戦は、これまで28回を数えるが、前々回、26回目にして初めて、天・地の俳句のうちの天の俳句に入ることができた。


 直近の「俳句ポスト365」の第156回 2016年9月15日週の兼題は、「蘆刈(あしかり)」である。兼題の説明に曰く。

蘆刈(秋の季語)「あしかり」。晩秋から初冬にかけて、水辺の枯れ蘆を刈り取ること、また蘆を刈り取る人のことをいう。刈り取った蘆で葭簀(よしず)を編んだり、かつては屋根を葺くのにも用いられた。

 兼題「蘆刈」に係る天選1句と地選の12句を以下に掲げる。

 晴れわたる百年後にも蘆刈つて   天選  優空    
 

 蘆を刈る音しやくしやくとあをびかり   地選  鈴木牛後    

 蘆刈られ空は九尺深くなり   地選  山香ばし   
  

 果てしなき下総の空蘆を刈る  地選   柝の音     

 蘆刈や蘆の動けるひと所   地選   ひろろ
    
 猛禽の影蘆刈る鎌をよぎりけり  地選   このはる紗耶        

 刈り芦束ね二カ所括つて立て掛ける   地選  ポメロ親父     

 蘆刈や束の重心探りつつ   地選  てまり
 

 孵らざる卵水色蘆を刈る   地選  玉虫虫改めせり坊
     
 刈り残る蘆がくすぐる若い夕陽    地選  初蒸気      

 野火止の狭き水路の蘆を刈る    地選   糖尿猫
 

 蘆刈りて傷は蘇芳に乾きゆく   地選  理子
     
 我らこそカインの子なれ蘆を刈る   地選  谷口詠美      
    

 そして、以下に掲げるのは、俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による並選5句である。5人全員の並選5句は、俳句集団結成後1年1か月の初心者集団としては、健闘である。

 青龍の漲る精気葦を刈る  並選   津軽わさお  

 汽水湖の潮の匂いや蘆を刈る    並選  津軽ちゃう 

 湯浴み後の腕の一傷蘆刈女  並選  津軽まつ 

 お岩木に合わす手もて蘆を刈る    並選  篠田ピンク  

 紙は太陽の申し子蘆を刈る  並選  野々原ラピ

 
 以上のように、天・地の俳句と並選の俳句を並べてみると、違いがある。

 
 どこが違うのか。天・地の俳句は、着眼点が独特であるし、表現の仕方がいい。それによって、読者が感じるなるほど感と味わいが深い。

 だから、いい俳句を作るポイントは、できるだけ独特な着眼点で、できるだけいい表現で、できるだけ読者のなるほど感と味わいを深めることにある。

 「俳句ポスト365」の選者にして、今をときめく俳人、夏井いつき先生のお使いになる表現をお借りすれば、天・地の俳句は、「発想のオリジナリティと描写のリアリティ」に優れ、「上質な詩になっている」、ということであろう。

 で、今回の天・地の俳句における創作上の特徴を挙げれば、天・地の俳句13句中11句の「季語との距離間」がとても近いことである。



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