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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (七十九) 

2016年07月18日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



男は、おずおずと口にした。
「今日出会ったのは、偶然ですか?」
どうしても聞いておきたいことだった。

偶然にしてはできすぎだと、思えていた。
麗子は閑静な郊外に住んでいるあろうと思っていたし、あるいは都心のマンションであろうと考えていた。
しかし男が働くガソリンスタンドは下町にある。
到底麗子が訪れるはずのない場所だと思った。

商店街にしても、麗子が立ち寄りそうなブティックはないし、洒落た美容室もない。
あるのは、年配向けの服を扱う洋品店であり、公立学校の制服を扱う店ぐらいだ。
流行遅れの髪型−ヘアスタイルとはとても言えない−をセットする美容院だ。

レストランと言えなくもないが、手押ドアの入り口を入ると、間口は五間ほどと広くはあるが、奥行きもまた四五間ほどの店だ。
主人の趣味なんですよ、とこぼしながらも満更でもなさそうに壁の至る所に飾られた油絵を指さしながら席に案内する。

力強く描かれた静物画で、素人目にはよくできた作品に見えるが、一度も入賞しないんですけどねと、明るく笑う。
奥から「趣味だよ、趣味」と照れくさそうに声が聞こえたときに「いい趣味じゃないですか」と、男は答えてしまった。
趣味に没頭するあまり出世コースから脱落した同期社員を軽蔑していた男には、思いもかけぬ言葉だ。

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