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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](二十一) 

2016年03月25日 外部ブログ記事
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劇場に入る前に、軽く食事をとることにした。
店の中は、殆どがアベックだったが一組の親子連れがいた。
異常な程に子供に関心を抱く麗子を見て、男の心は痛んだ。
早く結婚してやりたいとは思うのだが、共稼ぎを嫌う男には、まだ経済的に無理がある。
しかし、俺の思いは麗子もわかっているはずだと考えてはいた。
もっとも、麗子が親子連れに興味を持っていたのは、男の思いとは全く別のことからだった。
こんなアベックばかりの店に入っているとは、どういう神経してるの。
男の独り善がりだった。

劇場を出る頃には、そろそろ夕暮れになっていた。
急に、「電話してくる」と、麗子は男の元を離れた。
タバコをくゆらせながら、夕焼けの空を男は眺めた。
映画のラストシーンにも夕焼け空があった。
その下で、口づけを交わしながら恋人と別れる場面で麗子はハンカチを目に当てていた。
正直のところ、男には退屈な映画だった。
睡魔に襲われることもしばしばで、あくびを噛み殺すことに四苦八苦していた。

戻ってきた麗子に「何処にかけたんだ」という男の問いには、ただ笑うだけだった。
男の中に、外泊をさせてしまった負い目から、麗子の親に対して申し訳がないという気持ちが、今、湧き起こってきた。
送って行こうという男に、麗子はもう一度男のアパートに、と聞かなかった。
アパートに着いた頃には、時計は七時近くになっていた。
暫く映画のことを話していたが、会話が途切れると麗子は、男の目を凝視し、真顔で言った。

「今度の日曜日にでも、両親に会って欲しいの。
私たち、お友達という関係じゃなくなったことだし、両親に正式に紹介したいの。
勿論、私も貴方のご両親に会わせてもらうわ」
半ば命令調だった。
以前の麗子に戻ってしまった観のあるその言葉に、男は反発を感じつつも「わかった」と、答えざるをえなかった。

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