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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜介護施設で働き出した〜(二十一)  

2016年02月17日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 ベテラン看護師の奥村が、
「大変だったわね。でも隙を見せたあなたにも、責任の一端はあるのよ。
そこのところは、キチッと自分の中で消化しなくちゃね。
あの坂本さんって、入所当時はキッチリしたお方だったんだけどね…」
 と、暗にほのかを非難した。

「まあ、若いあなたには荷が重すぎたかも。
誰かに相談でもしていたら、また違った展開もあったでしょうけどね。
そうか…主任には話したんだったわよね。
どうせ『ベテランを見習いなさい』とでも言われたんでしょ?」

 どう答えて良いのか分からぬほのかは、俯いたまま「ええ、まあ」と言葉を濁すしかなかった。

「入所当時はね、ほんとにキッチリした人だったのよ。
礼儀正しくてね。大きな会社の部長さんだったせいでしょうね、
少し尊大なところはあったけどね。
信じられないでしょうね、あなたには。
今はもう、ただのスケベ親父だものね。
応接室に行こうか。ここじゃ、ちょっとね」

 ほのかにしても人の目が気になっていただけに、「はい」と素直に従った。
「入所されてから、一年ぐらいだったかしら。
息子さんと大喧嘩されてね。自宅の建て直しをしたいって、息子さんが言われたのよ。
『もう戻ることもないんだから、俺たちが入るよ』って」

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