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女目線の職人シリーズ�E^^;　

2015年11月11日
テーマ：仕事

〈　ガクちゃん　〉

ある日の朝礼で
GACKT に似ている青年を見かけた。

その当時GACKTは金髪。
ガクちゃんも同じような髪型で金髪だった。
GACKTから“自信“というものを少し
削ぎ落としたような儚げな横顔。
(男性に使って良い言葉？笑)
黙って立っているとその姿は美しかった。。。

職長の仕事の一つ、
午後一番の打ち合わせの他に
週２回現場内を見回りする日があった。

私は短足なので、職長達の歩くペースに追いつくのが大変だった。いつも小走りだ(^_^;)
階段上りの時はへーへー言った(;・д・)

ガクちゃんは足長だったが、若者にありがちな
“だりぃ〜”的な感じでいつも最後尾にいた。
なので私達はいつも近くにいたのだ。

人見知りなガクちゃんだったが
私達はすぐに打ち解けた。
何故かというとガクちゃんは
“おバカ”だったのだ(^_^;)
いわゆる「類友」である(笑)

打ち合わせではいつも隣に座り、
私の知らない専門用語や、道具の名称やら使い方、
現場で起こったこと、他の現場での色々な話など
してくれた。

例えば監督が「○には“ねこ”使ってな。」と言う。
私がメモに「ねこ？」と書くと小声で
「一輪車の台車みたいなもの」と教えてくれる。

彼がいなかったら打ち合わせの時の私は
目がぐるぐる回っていたに違いない。
ガクちゃんは現場での私の先生だった。

彼の仕事は斫リ(はつり)屋さんといって
コンクリを壊したり削ったりする業種。
なのでいつもコンクリの埃を被っていて
２４才なのに粉っぽく乾燥肌だった。

しかも、鼻毛ボーボーで鼻の穴から
青っぱながいつも垂れそうだった(笑)
彼の美貌が台無しだ。^^;
とてもとても気になったが
“この鼻毛と青っぱなが彼を守っているのだ！”
と思うと口にチャックをした。

しかし私の我慢も限界を迎える日が
すぐにやってくる。堪え性がないのだ(笑)
彼は長身なのでいつも見上げて話をするから
鼻の穴が丸見えなのだ。(笑)
ガクちゃんに鼻毛と青っぱなのことを言うと
「かおちん、うるさい！」と真っ赤な顔をして
鼻毛は所っちゅうカットしているという……(笑)
そんな事を言い合える仲だった。

ガクちゃんは仕事に飽きると
私の作業部屋に油を売りにくる。
黙っているといつまでもいるので
「早く仕事しろよ〜(笑)」と葉っぱをかける。

彼は寂しがりやだった。

結婚していて、家では我が儘亭主関白。
孤児院で育ったこと。
３歳で引き取られた後、その家に弟が産まれ
中学から荒れまくり、鑑別所、少年院へ入ったこと
等々……色々な話をしてくれた。

ガクちゃんの美しさは
“寂しい美しさ”でもあった。
横顔はいつもどことなく悲しげだった。

最後に現場で会ったときは笑顔だったが
いつもより一層寂しげで美しかった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく^^;

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