メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

吾喰楽家の食卓

伊勢音頭恋寝刃(その2) 

2015年08月18日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日は、初めて尽くしの歌舞伎である。
今までに既成者研修発表会なら、文楽と能楽を観ているが、歌舞伎のは初めてだ。
落語にはそれがない。
公演ごとに前座や二ツ目が出演することが、その役割を果たしているのだろう。
また、歌舞伎は、国立劇場の大劇場でしか観たことがない。
今回は、小劇場である。
一般の歌舞伎公演よりも安いからか、良い席のチケットを入手するのは激戦だった。
中央ブロックだと、後列しか取れない。
“どぶ”と呼ばれる、花道下手側と、どちらにするか迷った。
いつまでも迷っていると、それらの席も逃がしてしまう。
結局、“どぶ”を選ぶ。
更に、公演時間が長いのも初めてだ。
午後一時から五時十五分までやる。
歌舞伎に限らないが、昼の部だと、遅くても今回の一時間前には終わっている。
夕餉のことも、考えないといけない。
こんなことまで心配するのは、如何にも食いしん坊らしい。

最近の天気予報は、よく当たる。
カーテンを開けると、強い雨が降っていた。
数ある中から、色が濃く、丈が短めのジーンズを選んだ。
自宅から最寄り駅へ行くまでに、膝から下がびっしょりになった。
傘を持つ手も、肘から先が濡れた。
濡れた手足だから、車内の冷房がなおさら寒い。
池袋で降りたら、眼鏡が曇った。
むっとする暑さが、心地よい。

零時三十分の開場と共に、場内へ入った。
先ずは中央最後列から舞台を見た。
舞台が、さほど遠くない。
中央ブロックの後列も悪くない。
ちなみに、来月の文楽は、最後列から数列前の中央で観ることになっている。
早速、自分の席に着いた。

■本朝二十四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
とにかく女形の二人が美しい。
姫と腰元は美人なだけでなく、気品がある。
ところが、二人の会話ばかりなので、花道の脇にいるメリットがない。
動きが少ない進行に、少し眠くなり始めた。
ところが、終わる間際に、花道三連チャンである。
次々に、目の前で見得を切って、花道を下がっていく。
眠気が、いっぺんに吹き飛んだ。

■素襖落(すおうおとし)
狂言を原作とした歌舞伎である。
と云っても、筋書きだけを取り入れた原作ではない。
歌舞伎そのものが、狂言のしつらえになっている。
個人の好みと思うが、中途半端な気がした。
能楽堂で観る狂言の方が、面白いように思える。

■伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
主人公の侍、遊女、仲居、この三人の絡みが、この芝居では重要である。
侍は熱演していたが、やや小柄だ。
女形の二人が大柄なので、バランスが悪い。
そして、遊女が美しくない。
仲居はともかく、遊女は美しくあって欲しい。
侍と仲居の掛け合いは、息が合っていないように感じた。
歌舞伎初心者には、どちらが悪いのか解らない。

歌舞伎は落語と違い、観始めてからその世界へ入り込むのに少し時間が要る。
でも、その時間は、回を重ねるごとに短くなっていく。
そして、その面白さの感じ方も、深まっているようだ。
今回の歌舞伎も、充分に楽しめた。
九月の文楽は、人形だから当然だが、美しい遊女を観られるはずである。
十月の歌舞伎は、今回と同じ台本、同じ大道具、小道具、衣裳、音楽で、一流役者による歌舞伎が観られる。
今から、ワクワクしている。

   *****

写真
8月17日(月)の昼餉(御馳走二段小箱) & 同日の小劇場入り口



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR







上部へ