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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十一) (百六十)壁に立てかけてあるミラーに 

2015年03月26日 外部ブログ記事
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「さあ、入って。ソファに、座って。あらあら。 ミタ君の肩、びしょ濡れじゃない。
そうかあ、傘が小さいんだ。ごめんね、気が付かなくて。ちょっと待って、タオルを持ってくるわ」
彼は、耀子の差し出したタオルで水気を吸い取った。
「ああ、だめだめ。それじゃだめよ、脱ぎなさい」

ベッドルームから、耀子の声がした。壁に立てかけてあるミラーに、ジーンズを脱いでいる耀子の姿が映っていた。
思わず目をそらしたものの、純白の下着姿が目に焼き付いた。
スラリと伸びた足が、眩しく感じる彼だった。
フレアスカートに着替えた耀子は、
「ほらっ! 早く脱ぎなさいって。風邪引いちゃうわよ」
立ちすくんでいる彼の後ろに回り、ベットリと濡れているポロシャツを剥ぎ取った。
そして、洗濯機を回した。

「大丈夫、大丈夫よ。乾燥機があるから、すぐに乾くわよ。
ついでに、ズボンも脱ぎなさい。そのまま座られたら、ソファが水浸しだわ。
バスローブを貸してあげるから」
矢継ぎ早の耀子の言葉に逆らうことも出来ず、差し出されたバスローブを身に付けた。
辛うじて膝が隠れるその姿に、
「やっぱり、小さいわねえ。クククッ、ガキ大将みたい」
と、笑いをかみ殺す耀子だった。

「ビールで、いいでしょ? 夕べ、のぶことボトルを空けちゃったのよ。
一晩中、おのろけを聞かされたの。まったく、いい加減にしてほしいわ」
なみなみと注がれたコップが、小さなテーブルに置かれた。

「この間は、酔いつぶれちゃったでしょ。可愛かったわ、寝顔。ククク」
耀子のハイテンションな様に圧倒されている彼は、唯苦笑するだけだった。
「ちょっと、悪戯したんだけど。酔いつぶれていたから、わかんないでしょ。ククク」
上目遣いの耀子に、彼はドギマギとしつつも
「何ですか、どんな悪戯なんですか」と、口を尖らせた。

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