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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十) 片意地張らぬ気楽な間柄 

2015年02月25日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



牧子には、彼のことが弟のように思えていた。少なくとも、恋愛の対象ではなかった。
不倫という関係に疲れを感じ始めている牧子は、片意地張らぬ気楽な間柄を楽しみたかった。
軽口を叩く相手が欲しかったのだ。
「ボクちゃん、何か観たい映画はある?」
「うん、お姉さん。あるよ」
おどけた口調の彼の言葉に、牧子は笑い転げながらまた彼の腕を抓った。
「リバイバルだけど、いいかなあ」
「良いわよ。私、取り立てて観たい映画はないから」

エントランスは人でごった返していた。
空調システムが働いているにも関わらず、ムッとくるような人いきれがしていた。
「混んでるわねえ」
「ホント、すごいや」
気後れを感じる彼だったが、人混みをかき分けながら進む牧子に従った。
うっかりするとはぐれそうになる彼を、牧子は彼の手をしっかりと握って進んだ。
ふっくらとした牧子の手は暖かく、まるで子供の手を引く母親のようだった。
何とかすり抜けると、目的の映画の上映時間の確認をした。

「うーん、一時間近く後ねえ。そうだ、今の内に食事しましょ」
牧子は彼の言葉を待たずに、踵を返した。
いきなりの牧子の動きに彼は反応が出来ず、手が離れてしまった。
あっという間に牧子は、人混みの中に紛れ込んでしまった。
慌てて追いかけようとするが、雪崩を打つように押し寄せる人々で、なかなか牧子の元に行くことができなかった。
それどころか、どちらかと言えば小柄な牧子は人混みに紛れてしまった。
背伸びをして牧子を探してみたが、見つけることができなかった。
立ち止まっている彼に、周りの冷たい視線が注がれた。
やむなく、彼は流れの外に出ることにした。

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