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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(11) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(11)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/03/04 10:25:06

+++ひょっとすると本当にモーツアルトの再来かも
知れなかった。芸術家を助けた老練な実業家として、
私は後世に名を残すに違いない。

11.合弁会社

 ワクワクした私は、早速気を入れて返事を打ち返
した:

「香りの高い紅茶がお好きなようですね、アールグレ
イさん。 お会いする時に、英国製の缶入りを手土
産に致しましょう。 メールを面白く拝見しました。
私の髪はロマンスグレイというより、量が足りないー
ーーという感じになっていますが、貴女が期待する白
髪は充分混じっています。

「小さいですが会社を経営していますので、お金儲け
に関心が高く人並み以上に研究していますが、残念な
がら貴女が打ち込んでいる芸術方面には素人です。

「けれども、前々から文化人の仲間入りをしたいもの
と思っておりました。 モーツアルトを援助するお小遣
いの額は追って話し合いましょう。 バレエと未知の世
界を覗いてみたい気持ちがあります。 一度お会いした
いですね、日本芸術の発展の為に。 比呂よし」

 ただ問題があった。女の要求する月二十万円であ
る。これは「生かさず殺さず」の悪評高い月間五万円
ぽっきりの私の小遣いの数倍である。考えた挙句、か
って腕に覚えのあるトップセールスマンの技(わざ)
の活用を思いついた。これは意外と応用範囲が広い。

 考えて見ると先ず、月二十万を払える男が世の中に
そうザラに棲息しているとは、思えない。それどころ
か半額以下でさえ、もっとマシな女が他に見つかりそ
うなもの、と私は狡く考えた。
 そう考えると、非常識な額と思えるし、世紀のモー
ツアルトを小道具に使う小生意気な所も考え合わせ
ると、女のスキがそこにあると睨んだ。

 若い女の一人や二人、これをたぶらかせないよう
なら、トップセールスの腕が泣くじゃないかーー
ー! プロの意地を賭けて私は策を巡らした:
(金は無くとも)必ず落とすぞ!

(つづく)

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2014/03/04
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