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作品名 アカンタレの話(49) 評価 評価(1)
タイトル アカンタレの話(49)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/02/13 11:41:24

+++男の子を家で、つまり店で歓待する積もりだっ
たのよ、初めっから。玄関先で追っ払うのではなく
て」
「ーーーー」

49/50.恋の終り

「男の子と一緒に山の中でどんぐりを拾ったら楽しい
だろうな、と女の子は空想したわ。だから、次の日に
学校で男の子にまた会えるのを楽しみにした」
「ーーーー」
「けれども、次の日男の子は教室で女の子を無視し
た。一度だけ目が合ったのに、男の子の方から目を反
らしたのよ」
「僕は本当は、彼女の方を見ないようにしていたんだ
ーーー」

「けれども女の子は、やんちゃな生徒が居る教室では
だめでも、学校の帰り道に男の子と又話が出来ると思
って、愉しみにしたわ。帰り道が待ち遠しかった」
「ーーーー」
「けれども、帰り道に男の子と出逢わなかったわ」
「ーーーー」

「その次の日の帰り道、山道になる前よ、女の子は気
になって道々後ろを振り返り振り返りして歩いたわ。
道の遠くまで目を配ったけれども、男の子の姿は無か
ったーー」
「通学路を、逢わないように、僕がわざと違う道へ変
えていたからだよーーー」

「その次の日も、その又次も女の子は毎日振り返りな
がら道を歩いたから、後ろを振り返るのが癖になった
わーーー。時々校門をクラスの誰よりも先に出て、登
山口まで普通の倍の時間を掛けて、試しにのろのろ歩
く実験もしてみた。足の遅い男の子が、追いついて来
れるようにと思って」

「僕は違う道なんだーーー。それに医院に寄って、カ
ルシウムの注射の予定もあったしーーー」
「ちゃんと毎日教室には居るのに、男の子の姿は帰り
道から消えてしまった。ひどいわーーー」

「体が弱かったから、僕は風邪を引いて、何日かは学
校を休んでいたのかも知れないーーー」
「ーーーー」
「何だか、切なくて女の子が可哀想だねーーー。僕を
責めているのかい?」

「中学になって、男の子は急に成績をぐんぐん上げて
いったわ」
「僕はアカンタレだったけれど、少しは勉強を頑張っ
たんだよーーー」

「クラスは違ったけれど、そんな男の子を彼女は遠く
から眺めていたわ。キツネ坂でも時々出遭ったけれ
ども、忘れたように男の子の方では無関心を示した。
自分の成績は男の子ほど良くなかったから、もう手が
届かないと思った」
「そんなーーー」

「女の子は中学を出ると直ぐに、母親がやっている山
の茶店を手伝った。暫くして、男の子が名門の高校へ
合格したらしいと風の便りに聞いた時、寂しかった
わ。彼が遠くへ行ったと感じ、恋が消えたと思っ
た」
「ーーーー」

(つづく)

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