どうでも雑記

藤の実が爆ぜて飛ぶ 

2024年01月14日 ナビトモブログ記事
テーマ:山里生活

山里のken家では毎年この時期になると、雑木林の藤の実が弾ける破裂音がする。
日没頃になると裏山からパチ・パチ・パチパチと音が鳴り始める。自然の息吹の音だ。

最初に気付いたのは、とうの昔だが、物置のトタン屋根に藤の実がカーン、カラーン…と当たる音だった。
何処から飛んでくるのか、近くに生えるクヌギの大木に絡んだ、太い藤ヅルの先を追いながら見上げていると、パチンと破裂音がしてヒラヒラと舞い落ちてくるものがあった。
すぐに藤の実のサヤが弾ける破裂音であり、同時に実が飛んでくることが判った、その時は感動した。

それからは裏山のクヌギの大木に絡んだ太い藤のツルを眺めるのが楽しくなった。
初夏になると新緑の中に紫の花をたくさん咲かせる。
花が終ると葉っぱで見難いが、サヤエンドウのような実をつけ、秋には15pから20p位に成長する。
初冬になりクヌギの葉も藤の葉も、すっかり落ちると、あとには藤の実のサヤがたくさん吊り下がっているのが見える。
今年も時々クヌギの大木に絡んだ藤ヅルを見上げながらサヤが弾ける音が待ち遠しくなる。

この時期になると木葉は落ちて陽射しを遮るものは無く、一気に藤の実のサヤは乾燥する。
晴れた日は気温が上昇して更に乾燥が進むことで、藤の実を包んだ2枚のサヤはお互いに反対方向に捻じれて引っ張り合い、弾ける限界になっている。

この状態から日没になると一気に気温が下がり、藤の実のサヤは収縮することで、耐え切れなくなり弾けて種を遠くに飛ばす。

捻じれた2枚のサヤはプロペラのように風を切ってヒラヒラと舞いながら地上に落ちてくる。
碁石のような藤の実は今日もパチーン・パチーンと弾けて、時々カラカラと物置の屋根を滑り落ちる。たまに家のベランダまで飛んでくるので植物の技とは思えない。

子孫を広域に残す手段として、種を川に流したり、動物に食べられたり、時には人の衣類や動物に付いて生息域を拡大する。タンポポの様に風に吹かれて、はるか遠くに飛ぶ種もある。

この様な中で、藤の実のように弾ける力と、より高い木に巻き付いて高度を上げることで、より遠くに種を飛ばす。
不思議だ、知能のある生き物としか思えない。そんな思いで今日も藤の実が弾ける音を聞く。



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月さんへ、

素浪人kenさん

里山の葉っぱの落ちたクヌギの大木に絡んだ藤ズルには、たくさんの藤の実だけが青空に映えています。
当然のように赤黒い碁石のような実は、天の恵みの様の思い、フライパンで炒ってみました。
情報を頂いた中では「苦い」と書いているのはなかったように思いますが、苦いです、非常に苦くて食べられません。
そこで山菜のように下処理が必要かと、碁石のような実を一晩水につけた後、乾かして炒ってみたが、苦味があつて食べる気にはならなかった。次に黒い皮を剥いて炒ってみたら、苦味は半減したが、美味しいとはどうみても思えなかった。
苦味取りの下処理が必要だが、粉にして団子にでも加工したらどうかな…と考えたが、試してみなかったです。
*コメント&情報ありがとうございます。、

2024/01/19 00:26:01

漢方薬に?

月あかりさん

藤の実が様々な条件を選び、満を持して弾ける様を
実に小気味よく文字にして説明してくださいました。

それを読んだ私は「へえ〜!!そうなんだぁ〜」と
阿呆のようにただおそれいります。

そんな激しい実、凄い薬効が期待できそうです。
いったい食べられないものなのかと少し調べたら
やはり人間の考える事はあまり変わらない
こんな投稿がありました。
https://blog.goo.ne.jp/takahisatt/e/acad734b853ec1c6f0831f5363ad5359

2024/01/16 20:19:43

莉梨さへ、

素浪人kenさん

草も木も多くの植物は太陽光に向かって育ち、花を咲かせ実を成らす。天気が悪いと野菜も成長に障害が出ます。
暑さ寒さも必要で、四季を感じて生きているとすると、意思はあると思います。
人間も含めて皆、自然界のうつりに合わせて共存・共生しているように思います。

2024/01/15 22:14:28

藤の実の音だったとは!

莉梨さん

私の住んでいる地域でも藤はあちこちで見かけるので、長い実がぶら下がっているまではよく見かけて、その後そのまま落ちるのかなと思っていましたが、弾けるのですね!
季節ならではの音を居ながらにして聞けるなんて素敵です。

植物も動物も、生き残るために知恵を使うのですね。
意思もあるのかな?

2024/01/15 21:08:56

楪さんへ、

素浪人kenさん

こんばんは〜。
楪さんのエリアでは里山のような場所もあり、奇麗な渓谷沿いにも山藤が沢山生えているでしょうね、想像しています。
ken家の裏山にビワの木が植えてあります。甘くなると、ビワをくわえて飛んでゆくカラスをよく見ます。
その結果、周辺の山にビワの木を見かけるようになりました。
この様な関わり合いを見ていると一種の共生の自然界を見ているように思います。

2024/01/15 18:22:49

藤豆

楪さん

おはようございます。
私の散歩道にも、山藤が沢山あります。
初夏には甘い香りを放つ、紫の花房が美しく、
後にできた大きな豆も眺めていました。

でも、それがそんな風に弾けて飛ぶことは知りませんでした。
面白いですね。
だから、あんなに増えて行くのですね。

私は、去年、菫の閉鎖花が三つに割れて、種が並んでいるのを見つけました。
それだけで感動したものです。
中々飛び出す瞬間は見られないけれど、思ったよりずっと遠くに幼苗を見つけました。

植物の子孫を残す戦略、素晴らしいです。

2024/01/15 07:50:04

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