Polyglotに憧れて

ASD(自閉症スペクトラム障害)の天才 

2023年12月11日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


   ASDの天才岩波明氏著の「天才と発達障害」という本を読んでいます。この中で、ASD(自閉症スペクトラム障害)の人の特徴がまとめられています。 コミュニケーションに障害がある他人の表情や言葉のニュアンスなどを汲み取れない(空気が読めない)特定の事柄に対するこだわりが異常に強い ASD研究が始まったのは比較的新しく、1943年にレオ・カナーによって古典的な自閉症の症例が発表されたことが出発点だそうです。それ以前は、自閉症の症状があったとしても、それを医学的に分析されたことはなく、変わった人、変人として扱われていたのだと思われます。ですから、過去の偉人で、ASDの特徴を持つ人がいたとしても、その人が本当にASDだったかどうかは不明です。それを前提として、この本では、ASDであったかもしれない偉人について具体例を挙げています。 山下清(放浪の画家)10代で知的障害児施設に入り、「ちぎり絵」に没頭。18歳、金も画材も持たずに各地を放浪するが、放浪中の風景を全て記憶しており、驚異的な記憶力により、放浪後数ヶ月経過しても、風景の詳細な部分を描くことができた。 大村益次郎(司馬遼太郎著「花神」主人公)語学の天才であり、軍事の天才でもあったが、対人関係が苦手で、他人と交際しようとせず、周囲からは変人扱いされていた。見たことのない軍艦の図面をオランダ語の専門書を読んだだけで作成した。実戦経験がないのに、オランダ語の兵法書を読んだだけで、戊辰戦争を指揮し勝利した。しかし、人と挨拶すらせず、ひたすら本を読んでいたという。 島倉伊之助(司馬遼太郎著「胡蝶の夢」主人公)語学の天才で6か国語をマスターし、日本で最初のドイツ語辞典を作り、医師として医書を刊行する。だが、社会性に乏しく、上司に礼儀を失し、場の雰囲気を考えず行動するので、周囲に嫌われ、受け入れられることはなかった。 ダーウィン(進化論の祖)子供の頃から変わり者で生き物の収集癖があった。生き物を持ち帰って部屋に閉じ籠り、終日観察して過ごした。ビーグル号での調査後も定職につかず、生活は資産家の親に頼り、自宅にこもって研究に没頭した。毎日決まった行動を取り、数十年変更する事なく繰り返した。 アインシュタイン7歳まで言葉をスムーズに話すことができず、感情の爆発が見られた。また、言われた言葉を繰り返す、反響言語と言われるASDの児童によく見られる特徴があった。教師はアインシュタインを知的障害者とみなしていた。数学は優秀であったが、語学や社会は苦手であった。 ヴィトゲンシュタイン4歳まで言葉をうまく話すことができず、失読症に罹患していた。学校では人付き合いができず、常に自殺を考えていたという。若い頃第一次世界大戦で活躍し勲章をもらう。戦時中、哲学と論理学に関するアイデアをまとめ「論理哲学論考」を出版する。戦後、小学校の教師になるが、周囲とトラブルを起こす。子供への体罰で訴えられて教師を辞める。その後、ケンブリッジ大学の特別研究員として勤務するも、その講義は恐ろしく、短気で、わずかの遅刻でも怒り狂ったという。 歴史に名前を残すような優れた業績を成し遂げた人であっても、社会的には困り者、あるいは変人と見なされていたことがわかります。彼らは一歩間違えれば、社会から邪魔者として扱われ、排除され、偉大な業績を残していなかったかもしれません。 彼らは、ある分野に関しては突出した才能を保有していたと思われますが、社会常識のようなものを理解していない、あるいは理解できない人だったのでしょう。 このような、特別な才能を持っているけれども社会性に欠けている人について、どのように考えれば良いのか、あるいは、どのように接すれば良いのか、難しいところです。 社会全体の視点から考えると、特別な才能を保有している人の能力を、うまく社会に役立ててもらうことが望ましいことは明らかです。その際、周囲の人の対応やサポートが重要になると思われます。上記の本では、偉人をサポートした人々に関する記述はありません。しかし、必ずや周囲のサポートがあったはずです。 優れた業績を上げた人の名前は残り、賞賛されますが、その偉人(変人で困り者、厄介者の性癖を持つ人)を我慢強く支えた周囲の人々の名前は残りません。そのような記録はあまり残らないので、サポートした人々が評価されることはほとんどないと思われます。 しかし、周囲の人の協力、サポートなしで、社会性に乏しい変人が偉大な仕事を成し遂げることは極めて困難となるでしょう。 このように考えると、社会性に乏しい、変人である、扱いにくい、と思える人であっても、排除するのではなく、何らかの得意分野を持っているのではないか、社会に役立つ才能を保有しているのではないか、という視点を持って接することが肝要かと思います。 また、偉大な業績を成し遂げた人を賞賛する際は、その人を陰で支えた人達への賞賛も忘れずにいたいものですね。       

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