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敏洋’s 昭和の恋物語り
青春群像 ご め ん ね…… 祭り (十一)
2023年09月04日
テーマ:テーマ無し
不安な気持ちを共有していると思っていた友人があっけらかんと答えた。「そりゃそうさ。ぼくらの知ってる八百屋は、いつも道路にまで野菜をならべているもん。ついさっき、通り越したところだよ。ほら、看板があるだろ? 巻き上げられたテントの上を見てごらんよ。八百善って書いてあるだろ」 友人が言うとおりに通り過ぎたかどに、たしかに八百善という文字が書かれている二階建てがあった。
目を伏せていたから見えなかった、ただそれだけのことなのだが、しっかりと前を見すえてあるく友人がいかにもおとなに思えた。「大通りを渡って、また路地に入るから。大通りはまだ人通りがあるだろうからさ」 否やもなかった。友人の決断は、ぼくにとっては命令なのだ。街路灯のない道での頼りは、うす明るい月明かりだけだ。淡いひかりの下で道の端をそうように歩いた。友人は道の真ん中を歩いて行く。まったりとした空気のなかを、当たり前のように空気をひき裂いてあるいていく。しかしぼくにはできなかった。中央を堂々と歩くことには抵抗感があった。 板塀にそって歩いていると、打ち損じたのだろうか、飛び出した釘で二の腕を傷つけてしまった。痛いと声をあげるわけにもいかず我慢しながら歩いたけれども、あまりの痛さに涙が出てしまった。街灯の下で見てみると、押さえていた指が血で真っ赤になっていた。「あっ、あっ」。動転したぼくに対し、友人はだまって真っ白なハンカチで傷口をしばってくれた。そしてようやく、小屋にたどりついた。遠回りしたせいで三十分ほどかかったろうか、しかしぼくには一時間にも二時間にも感じられた。
「着いたぞ」。「ついたね」。来てはいけない、たどり着いてはいけない、異世界の入り口前に立っている気がした。誰もいないはずなのに、そこかしこの木陰やら灯籠やらの陰に、幾多の不良たちがかくれているように感じられた。いや、それら木陰や灯籠が透けてみえる。「よおきたな」と舌なめずりしている不良たちが、ぼくには見えた。でも友人には見えていないようだ。
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