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敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 ご め ん ね…… 祭り (三) 

2023年07月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「ああ、わるいんだ。ばちがあたるよ!」 りんご飴を、さも愛おしそうになめながら、静子がもどってきた。口のまわりを毒どくしく真っ赤にして、同じく赤い舌でペロペロとなめている。えものを紙でまいて、愛おしげにみつめている。やっぱり吸血鬼に見えた。
しかしこんなかわいい吸血鬼なら血をすわれてもかまわないなと、心うちでつぶやいた。?「ねえ。あっちにね、おばけやしきがあるの。はいってみない?」「おばけやしきって、またか? このあいだはいったばかりじゃないか。こわいこわいってぼくにしがみついて、一歩もうごけなかったろうが。それなのに、またか?」
「いじわる! でもまた、はいりたいんだもん。このあいだのは、西洋のおばけだったでしょ? ここのは、日本のおばけみたいなの。日本のおばけは知ってるからさ、そんなにこわくないんじゃない? ねえ、行こうよ。あ、そうそう。さっき新一が言ってた呼びごえって、そのお化けやしきじゃなかったの? 頭のはげあがったおじさんが、一生懸命大きなこえをはりあげてたわよ」と、目をかがやかせて、ぼくの手をひっぱる。ひといち倍こわがりのくせに、こわいものみたさではいりたがる静子だった。
立ちならぶ屋台を過ぎると、うっそうとした樹木が両脇にある。10メートルほどの間隔だろうか、街灯がたっている。裸電球のまわりを無数の蛾やらの虫が飛びかっている。虫によわいぼくは、できるだけ上を見ないようにしながら、それでもぼくを攻撃したりはしないよなと考えながらあるいた。「はやく、はやく」とぼくをせかせる静子は、虫にたいする嫌悪感がまるでなく――というより、信じられないことに、好きだという。
故郷の熊本では、毎日のように虫収集にあけくれたという。夏やすみみの課題は、あたりまえのように昆虫採集で、大きな菓子箱のなかにびっしりとピン止めしたらしい。さらに信じられないことには、それらの箱を、就職時に岐阜までもちはこぼうとまで考えたことだ。ひと箱ふた箱どころか、両手の指でも足りないほどの箱数だったという。さすがに古いものは虫たちも朽ち果てていたとか。しっかりと防腐剤処理し始めた三年ほど前のそれらは、なんとか原形をたもっていたらしい。で、それらだけでもと考えたものの、母親に止められてあきらめたのだという。

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