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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百五十六) 

2023年05月26日 外部ブログ記事
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「太平洋戦争はね、体力勝負で負けよ」「いえ、そんなことは。天子さまのおこころづかいで負けることにされましたが、さいごには大和魂で勝ったはずです。敗戦は、これいじょう民にぎせいをしいたくないからとの、天子さまのおぼしめしですから」「竹田は、沖縄戦を知らないの? 勝負ありだったのに、大和魂なんて持ち出しちゃってさ。特攻機とか回天なんて、とんでもない兵器を開発して。だからアメリカも、とんでもないものを使ってくるのよ。原子爆弾やら水素爆弾やら。ていよく実験場にされちゃったのよ。男のくせにうじうじしちゃって。終戦の決断も、天子さまのご英断でしょ。それにね、アメリカ本土は無傷だったんでしょ? どうせ特攻なんて無謀なことをするのなら、アメリカ本土をやっつけなきゃ。そうすれば、こっちの言い分が通ったはずよ。ほんと、日本の男たちって、だめね。格好ばっかりつけちゃって。負けるが勝ちなのよ。いろいろと条件を付けてさ、さっさと負ければ良かったのよ。負けるが勝ちよ、何年何十年かかろうと、最後に笑えば良いのよ」
 立て板に水でことばがとぎれない。唖然とする竹田だった。婦女子が戦争のはなしをするなど、とうてい竹田には理解ができない。いや竹田だけにかぎらず、最大の理解者である武蔵にすら小夜子の思考がわからないときがある。小夜子について武蔵から聞かされてはいたが、当の本人からぽんぽんと飛び出してくる話は、竹田の想像の域をこえていた。「小夜子は、突拍子もないことを考え付くぞ。とにとにかく目的のためには、手段をえらばん。男を屈服させるために、平塚らいてふやら与謝野晶子やらの書物を読破したんだからな。あの正三とか言う男が、その標的だったんだろう。気の弱いところが、小夜子の目に止まったんだろうな。御しやすいとな。本人にはそんな気はなかったのかもしれんが、そういう男を求めていたんだろうさ」
 きょうの小夜子は、いつもの小夜子と少し違って感じていた。なにかしら明日がもうないといった感じで、あれもこれもと欲張る観のある小夜子に思えた。「小夜子奥さま。また次回のお出かけの折にでも、ということになさいませんか。社長も、きょうあたりお帰りかと、、」「え? 帰ってくるの? 何時の汽車なの? 会社、それとも家に直帰かしら?」 竹田のことばをさえぎって、目をかがやかせる小夜子だ。「申し訳ありません、お客さまとごいっしょだと聞いております」「お客? いっしょ? どういうことなの?」 小夜子に矢継ぎ早に問い詰められて、しどろもどろに答える竹田だった。「なんといいますか、接待のようなものでして」

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