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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(二百八十四) 

2022年11月15日 外部ブログ記事
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「それがね、もう大変だったの。歓迎会だなんて言い出してね。仕事そっちのけで、準備したらしいの。武蔵の許可なんか下りてるわけないわよ。加藤専務の苦虫を噛みつぶした顔、見せてあげたかったわ。ちょっと複雑な顔ね。叱るべきか否かってね。さしずめ、あれね。“to be or not to be,that's a ?question!”よね」
 突然に飛び出した英語が理解できず、首をかしげる千勢だった。「ごめんね、分かんないね。日本で言えば、お殿さまである父親を殺されちゃった若さまの『仇をとるか止めるか』って、悩むときのセリフなの」「あら、そんなのおかしいです! お殿さまの仇討ちで悩むのって、なんて親ふこうなんでしょ。そんなの考えるまでもなく仇討ちするべきです。そうでしょう、小夜子おくさま」憤懣やるかたないといった表情で、切り捨てる千勢だ。
真顔の千勢に、思わず小夜子は吹き出してしまった。“この単純さが、千勢なのよね”と、笑みが自然に出た小夜子だ。「そうね、千勢の言うとおりね。でもね、若さまには何の力もないし後ろ盾もないの。相手は家老で……」「そんなの、関係ありません! すぐにがだめなら、じっと機会を待つべきです。それをうじうじと悩むなんて。だめです、そんなの。だんなさまも、きっとそうおっしゃいますわ」と、武蔵を引き合いに出しながら、鼻をふくらませて、得意げに言った。
「そうね、ほんとにそうね。千勢の言うとおりね。武蔵もそう言うわよ。ううん、武蔵なら、言うだけじゃなくてやるでしょうね」 そのときの小夜子の脳裏には、父親に詰られ母親に泣きつかれて、立ち往生している正三の姿があった。ハムレットと正三が重なって浮かんだ。そしてその傍らで薄ら笑いを浮かべている武蔵が居る。“お坊ちゃんよ、何をしてるんだ。何をためらう必要があるんだ? いいさ、小夜子は俺が守ってやるよ。お前さんはそこで立ち往生してな” 言うが早いか、疾風の如くに小夜子の前にひざまずく武蔵。そして背に隠してあった一輪のバラを、小夜子に差し出している。

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