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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(二百八十) 

2022年11月03日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「あたしは、だめなんです。うまく吸い込むことができないんです。以前、旦那さまにしかられました。『そんなちびちび食べたら、ちっとも美味しくないだろうが。どうにも辛気臭くていかん、少し練習しろ!』って。それからは、ご一緒させていただけません」「そうなの、武蔵らしいわね。他人の食べ方まで気にするなんて。放っといて欲しいわよね」 哀しそうな顔を見せる千勢に、小夜子の優しいことばがとどいた。突然千勢の目に、大粒の涙があふれ出した。小さな嗚咽が、あふれ出す涙に押されるように、はっくきりとした声となって小夜子に届いた。「どうしたの? 千勢。悲しくなることがあったの? それともあたしが悲しませたの?」
「とんでもございません、小夜子さま。うれしいんです、千勢は。こんなお優やさいことばなんて、千勢、いままで……」 畳に突っ伏して、わあわあと泣き叫びはじめた。物心ついてからの己の道を思い出して、抑えに抑えてきた感情が勢いづいた。“お前なんか産むつもりはなかったんだよ。小さなお前だったから、産み月近くになるまでとんと気付かなくて”“産婆のお常さんが、お前を助けてくれたんだからね。足向けて寝るんじゃないよ”
“姉は器量良しだから、玉の輿に乗れたけれども。おか目顔のお前では、お手伝いさんとしてご奉公するのが関の山だ”“今までただ飯を喰わせてきたんだ。これからはその分を返してもらわなくちゃな”“見なさい、となりのお園ちゃん。しっかりと稼いでさ、親孝行な娘だよ、ほんとに” 毎夜の如くに、両親に小言を言われつづけた千勢。七歳のころから、焚き木ひろいやかまどの灰集めにかりだされた。十歳を数えたときには、家族の炊事すべてをこなし始めた。そしてそのことが、現在の千勢を創り上げた。

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