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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(二百七十四) 

2022年10月20日 外部ブログ記事
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“なによ。新婚なのに、武蔵ったら。本来だったら、新婚旅行中のはずよ。それを出張だなんて。そんなこと、ひと言も言ってなかったわ。そうと分かっていれば、武蔵と一緒に帰ったわよ。なにか、具合の悪いことでもあったのかしら。うん、もう。どうして新婦が一人でお家に帰らなきゃいけないのよ! 帰ってきたらとっちめてやらなきゃ。でも、仕方ないかも……。散財させちゃったもの。ほんとにスッカラカンになるまで使ってくれたものね。だからよね、あんなに村中でお祝いしてくれたのよね”
 柱に寄りかかりながら、今朝の出来事に思いを馳せ始めた。“正三さんとお式を挙げたとしても、村中のお祝いがあるにせよ、これ程にはならないわよ。なにせ子供たちが、あたしが帰るときには道端に並んで手を振ってくれたんだから。うふふ。映画スターって、こんな感じなのかしら? アーシアと一緒だと、いつもこんな風に歓迎され……。ごめんね、アーシア。あなたのことを忘れたわけじゃないのよ。毎晩、アーシアを思ってお祈りしてるのよ。忘れたわけじゃないんだから”
「おくさまー! 小夜子おくさまー!」 張りのある声が構内にひびいた。夢想中の小夜子を、現実に呼びもどした。「お待たせして申し訳ありません。ご実家の駅から連絡いただければ、お待たせすることもなかっのですが。大丈夫ですか、お疲れではありませんか? お荷物、これですね。はい、社長に言い付かっております。お戻りになるまで、いつでもぼくをお使いください」 嬉しそうに話す竹田に、初めて会ったおりの暗く打ちひしがれた竹田とは別人に思える小夜子だ。
「こりゃ重いや。小夜子おくさま、どうやって運んで来られ……。そうか、どなたかが運んでくださったのですね。小夜子おくさまに頼まれれば、誰だって喜んでお手伝いするはずです。いや、お頼まれになる前に、申し出るでしょう」 キビキビとした動きで、足元に置かれている荷物を持ち上げる竹田。肩に担いでさっさと歩いていく。「ええ。車掌さんがね、運んでくださったの。他にもお声を掛けてくださったんだけど、車掌さんがね来てくださったの「ああ、そうですか。気にしてくれてたんですね、車掌が」
「ええ、まあ。そうみたい……」 つい、でまかせを口にしてしまった。見栄がでてしまった。“いいのよ。車掌がはこんでくれたのは事実なんだから。まさか誰も気づいてくれなかったなんて、言えるわけがないじゃない。お姫さまなんだもの、あたしは”
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