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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百六十八) 

2022年10月06日 外部ブログ記事
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“やっぱり見透かしていたか。ましかし、工房やら工人と懇意にしていてくれるのはありがたい。こけしの職人を工人と呼ぶのは知らなかった。女将の人脈は、相当のもののようだ。それとも案外、発展家なのか? 顔立ちからは想像もできないけれども”きつね顔のほそ面で、浮世絵に多い顔立ちだ。“ビードロをふく女に似ているんじゃないか。喜多川歌麿だったかな。おれの好みとしては、丸顔の大っきな目なんだが。でもないか。守備範囲は広いからな、女に関しては”
「失礼ながら、女将。あなたは素人さんに見える。仕事柄いろいろの宿を知っているが、、」 武蔵の言葉を遮って、ぬいが笑みを見せながら語りだした。「社長さまには包み隠さず申し上げますが、あたくし旅館経営などまったくの素人でございまして。先代の女将が急死したものですから、やむなく後を継いだのでございます。いち時は閉館とも考えたのでございますが、亡くなりました主人の遺言もございますし。いえいえ、主人は病死でございます」
 武蔵にお茶を勧めながら、自身も口を濡らした。「胸を病んでいたのでございますが、戦時中に他界いたしました。戦地におもむくこともなく、肩身のせまい思いをしながらのことでございました。そしてまた、主人を追いかけるように先代の女将が他界いすたしまして。女将業の修行途中でございます。さぞや無念のことと思います。ですが、残された方はたまりませんですわ」
 ころころと笑いながら話すぬい。暗さなど、微塵もみせない。「あたくしの父は銀行員なのですよ。いまは退職して、悠々自適の生活を送らせていただいておりますけれども。支店長時代に、この旅館に融資をしたことがありまして。で、そのご縁で嫁いできたようなわけでございます。まったくの世間知らずの女なのでございます。ですが、気持ちだけはありますの」と、意気軒昂だ。
「そうですか、女将ひとりでの切り盛りですか。まあ、こういった客商売では、女将の力が大です。男なんて、髪結いの亭主同様に、刺身のつまみたいなものですよ。表に出しゃばってくるのは、だめです。あくまで裏方に徹しなければ。縁の下の力持ちの役割に甘んじなきゃ。あ、こりゃ失礼。故人におなりだったんだ。失礼、失礼。一般論として話したつもりなんです。他意はありませんから」 女将が後家だと知った武蔵、饒舌さに拍車がかかる。

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