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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百五十二)
2022年06月30日
テーマ:テーマ無し
ちょっとした仕草――コンロの形を説明するために、立ち上がって両の手をつかって空間に立方体を作ってみせる――に、キャーキャーと大騒ぎをされる。ご機嫌になって、さらにまた大きく体をつかっての説明となる。「もうね、そのおうちのマダムにご挨拶したいって列を作るのよ。マダムというのは、奥さんのこと。信じられないでしょうけど、こちらとは違って女性をすごく大事にするの。でも……その日は……」
小夜子の話が、一旦、止まった。なにごとかと、ざわつきだした。「お疲れかしら」いう声があちこちから飛んだが、「ごめんなさいね。ちょっと自慢話というか、奢りだって言われないかとおもいましたの」と、らしからぬことに「そんなことありません。ぜひ、つづきをお聞かせください」と、催促の声が上がった。「小夜子さまのお話が信じられないなんていうひとがいたら、承知しないわよ! そんなひとは、すぐにここから立ち去りなさい!」 つよい口調の声が、部屋にひびいた。「そうよ、そうよ! 帰りなさい!」
「レディファースト。ご存じないわよね」 聞き慣れぬことばに、みながうなづく中、英語教師が声をあげた。「女性を大事にするという、西洋文化の代名詞だ。いままでの日本は女性を下に見る傾向があったが、これからはちがうぞ。竹田嬢は、その先鞭だな。おめでとう!」「在学中に、そのことばをおききしたかったですわ、三輪先生」「ぼくのことを覚えていてくれたのか、そりゃうれしいや」 小夜子との会話を独占されていることに不満の声が上がり、同僚からたしなめられてその輪からはずれた。
「ただね、武蔵に言わせると、またちがった風景が見えますのよ。日本では、男性の後ろを3歩さがって、と言いますわね。でも西洋では、女性を先に、ということらしいですわ。そのことについて、武蔵にはいち言ありますの。お聞きになりたい?」 いたずらっぽく笑って、話を途切れさせた。どうやら英語教師はその意味が分かったらしく、輪の外から声をあげかけた。が、女性教師が唇に指を当てて「だめ」と、さえぎった。
「西洋人は女を楯にした、と言いますの。そして日本人は、守ってやる、だ。そう言いますの。でもねえ、どこまで信じていいものやら。ですから、証明しなさい、っていつも言ってやりますのよ」 勝ち誇ったような小夜子に対して、誰からと無く拍手が沸わおこった。気を良くした小夜子は、「また自慢話になりそうですけれど。実は、始めて連れられていったガーデンパーティで…。マダムを怒らせてしまって……」と、話を止めた。続きをと、催促する視線に満足げに頷きながら「殿方たちからいろいろとお声をかけていただきまして。 でも武蔵に恥をかかせるわけにもいかないからと、だまって微笑んでいましたのよ。そうしたら、東洋の神秘だ! なんて言われて。懐かしいことばでしたわ、それは。アーシアと一緒にいたときのことばでしたから」と、思わず涙ぐんでしまった。もう、アナスターシアのことは吹っ切れていると思っていた小夜子だったが、まだ思慕の思いを抱いていた、そのことがうれしくもある小夜子だった。
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