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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百十九) 

2022年04月13日 外部ブログ記事
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 ひとり合点する武蔵、しかし茂作にはいまいましく聞こえる。“ふん。なんで、わしが行かにゃならん! 娘婿が来るのが当然じゃろうが。仕事が忙しいからと、舅をないがしろにするような男なんぞ! まあいい、こんな男に会いたいとも思わん。しっかりと金を稼いでくれればいいさ” 憤慨する茂作だったが、“我ながらいい口実を作ったもんだ。小夜子を実家に帰らせれば爺さんも喜ぶし。俺もまた、命の洗濯としゃれこむこともできる。こいつは一挙両得の妙案じゃないか”と、武蔵に浮気心がむくむくと起き上がってくる。つい、不遜な笑みをつい洩らしてしまった。
「小夜子、どうした? お前、泣いているのか? 初めて見たぞ、お前の涙なぞ。感の強い娘じゃとおはばさまがおっしゃられていたが」と、涙をこぼす小夜子に声をかけた。「そりゃ、泣けてもくるじゃろう。好いた殿御と結ばれるのじゃからして。しかもこのような、立派な三国一の花婿さんときた。茂作さんのことも、良う考えていてくださるし。感激するのも当たり前のことよ」「いやしかし。それにしても、あの小夜子が……。てっきり、竹田ん家の正三だと思っていたが」と、まだ信じられぬといった繁蔵だ。
「アーシアという大の仲良しを失ってからの小夜子は、泣き虫になりました。まあ今まで、気を張って生きてきたのでしょう。いまは人の情が分かる、良い娘になりました。この間、従業員の身内を付きっきりで看病をしてくれまして。病院でも評判でしたよ。実のところ、わたしも驚きました。とに角鼻っ柱の強い娘でしたから。もっとも、そこに惚れたのですが」
「社長。そのアーシアとかのは、何ですかの? 可愛がっていた犬か猫の類ですかの?」と助役が尋ねた途端に、小夜子の顔がみるみる赤くなった。「アーシアを動物だなんて! バカ、バカ、バカあ! あんたになにが分かるのよ! アーシアは、あたしの命だったんだから」と、涙ながらに奥の部屋に駆け込んだ。
 唖然とする二人に、武蔵が言葉を足した。「許してやってください。姉と慕う娘なんです、アーシアというのは。アナスターシアと言うロシア娘でしてね、ファッションモデルなんです。男の我々にはとんと縁のない、世界的に有名なモデルでして。若い娘さんに聞いてください、良く知っていると思います。その娘と、姉妹の契りを結んだようなんです。いやいやこれはホントの話ですわ。で、一緒に世界を旅するつもりだったようです。その為に一生懸命、英会話を習っていましたからね。お義父さんもご存知ですよね、たしか」

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