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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百十六) 

2022年04月07日 外部ブログ記事
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「それは……。だって仕方ないじゃない! 正三さん、ちっとも連絡くれないんだもの。それに、アーシアが……」己の不実さをなじられたようで、思わず涙ぐみかけた。「お義父さん。それについては、わたしから。小夜子の気持ちは、今でも変わっていません。小夜子は、お義父さんに安楽な生活を送っていただきたいと。それだけを念じていたのです」
 茂作の前に風呂敷づつみが差しだされた。何ごとかと目を上げる茂作に、「これは支度金でございます。これで小夜子の嫁入り支度を整えてやってください。それから、ダイア商会のことはご心配なく。すべて済んでおります」と、小声で耳打ちした。「お義父さんは小夜子の大切な家族です、粗略に扱うことは決してありません。これからも充分なことをさせて頂きますので。なにかご要望がありましたら、会社の方にご連絡頂ければすぐにも」
小夜子に知られたくないことがまだあるのならこちらの方で始末を付けますと、さらに付け足した。「べ、別にあんたに始末を付けてもらうこともなかったが、まあ取り合えず礼をいっておきますわ」あわてて茂作が答えた。小夜子に聞かれてはこまる、最大の弱みをしっかりと握られているのだ。
「お父さん。あたし、武蔵さんに嫁ぎます。決めたから」「いやしかし、正三と」“すぐに了承してはわしの沽券にかかわるわ”とばかりに、言葉をにごした。 そして、いまはっきりと気づいた。茂作の心内には、佐伯本家の跡取息子である正三ならばいいか、その思いがやはりあった。正三には冷たくあしらう言葉を投げつけてはいたが、心底では願っていることだった。それが茂作にとって、どれ程の誉れになることか。常に茂作を見くだす竹田本家に対して、同等もしくは格上となれるのだ。
「それに、もう……」。ポッと頬を染める小夜子に、「ま、まさか、お前」と絶句してしまった。“母親の澄江も無鉄砲なことをしよったが、小夜子、お前もか。血は争えぬ、と言うことか”「順序があと先になってしまいましたことは、重々お詫びします。わたしの焦りからでして、申し訳ありませんでした。。ですので、決して不自由な思いはさせません。どうぞ、お認めください」 武蔵が改めて深々とお辞儀をし礼を尽くすと、時を待っていたかの如くに「茂作よ、わしだ。助役さんと一緒でな、どれ上がるぞ」と、繁蔵から声がかかった。
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