映画「空白」

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2021年09月12日ナビトモブログ記事
テーマ：映画

中学生の少女がスーパーでマニキュアを物色しているところへ突然若い店長が腕を掴み、奥の事務所へと誘導する。だが、少女は逃走を試みる。全力で逃げる少女を、また全力で追いかける店長。少女は突然クルマにはねられる…

一人娘を亡くした悲しみの果てに、関係者に執拗に迫り続ける父親に古田新太、その娘の万引きを目撃しつつも逃げる娘を追いかけ、目の前で跳ね飛ばされるまで死に追いやったスーパー店長に松坂桃李、そして、何事にもお節介で若い店長を守ろうと空回りするスーパーのパート社員に寺島しのぶ、一人娘の死を共有しながらも父親としての態度をただ一人注意し続ける元妻に田畑智子が演じる。
壮絶な交通事故死により被害者、加害者と取り巻く家族や関係者たち皆の日常が一変する。また、事件が社会性を帯びるほど、マスコミは人々の奥深くまで執拗に追い、不幸の連鎖が止まらない。

この映画では、どこにでも起こり得る出来事に、それぞれのキャラクターが見事に絡み合い、そして理不尽な思いのまま"空白"を埋めるように時間が過ぎていく過程を描いている。
吉田恵輔監督・脚本による人物設定の妙、愛知県蒲郡市の風景、家族、学校、マスコミと、すぐそこに起こり得る問題に直面させられ、考えさせられることの多い秀作だった。
この映画は9月23日公開。試写会により鑑賞。