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ほっこり
ショート3話
2020年04月12日
テーマ:小咄
○ 成功だけど失敗
研究を続けて幾星霜、やっと秘薬の開発に成功した。
夢の「透明人間」になる薬だ。
元に戻る薬と共に出来上がった。
後は実証実ある験のみだ。
「さ〜て、飲むぞ!」・・・ごくりごくり・・・
「わ〜、何も見えない!」
あわてて元に戻る薬を飲むと視力が回復した。
やはり失敗だったのか・・!
実は大成功。体は全て消えていた。
しかし、眼球まで消えたので見えなかったのだ。
(この話は誰もが思いつきそうなので、すでに似たようなものがあるやも知れませんが、盗作ではありません)
○ 香りの家
「ただいま〜」
今夜は所要で少し遅めの帰宅だ。
我が家の玄関に入ると芳香剤の香りがすぐに漂ってくる。
玄関、トイレ、廊下、居間など各部屋に置いてある。
しかも、場所ごとにジャスミンやレモンなどと違うタイプの物を置いているので匂いがごちゃ混ぜだ。
おまけに同居の娘は子供がいるのに、いまだに香水をぷんぷんとさせている。
はっきり言って、こんな室内環境は嫌である。
度が過ぎると匂い(臭い)に鈍感になるからだ。
しかし、不思議なことがある。
我が家では室内で小型犬と猫を飼っているが、私が近づくと離れていく。いつまでも懐いてくれない。
コタツに入ると小学生の孫娘はコタツから出ていく。
まだ、寝たままの乳児の孫に顔を近づけるととたんに泣き出す始末だ。困ったものだ。
女房も娘も最近はやりの「濃厚接触禁止」とか「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」などと言って私と距離を取る。
俺は感染者か?そんなに家族の嫌われ者なのか?
今迄、我慢してきたが、今日こそは言ってやる。
「おい、お前達はそんなに俺を除け者にして楽しいのか!お前達がそんなだから犬や猫までも俺を避けるじゃないか。大体だな、この家の中は匂いだらけじゃないか。まるで匂いの総合商社みたいだぞ!我慢にも限界がある。それに、ケンちゃんもお爺ちゃんがコタツに入ったら逃げるし、そんなにお爺ちゃんが嫌いか?」
ケンちゃん「だって、お爺ちゃんの足、臭いんだもの」
私「エッ・・、むむむ・・」
娘「お父さんは腋臭(わきが)と加齢臭もきついのよ。犬や猫だって、そりゃあ逃げるわよ。嗅覚が鋭いんだから」
妻「それにあなたはね、口臭も凄いから赤ちゃんも泣くのよ。昔から言いますよね、臭い便所でもずっと入っていたら臭いが気にならないようになるって。そして、いつもおならばっかりするでしょう!臭いったらありゃしない」
妻「この家が匂いの総合商社なら、あなたは歩く公衆便所よ」
私「そこまで言うか。もういい、風呂に入ってくる!」
くそ!完璧にやり込められてしまった。
いくら女房子供孫といっても、あそこまで言うか。
誰が働いてこの家建てて面倒見てきたかなど感謝の言葉もない。
草津温泉の入浴剤入りの湯船に入って怒りを抑えようとしたら、つい長風呂になってしまった。のぼせた。
私「今、上がった」
妻「お父さんが最後だから、お湯を落としてくれましたか?お父さんの後はお湯が濁って臭いですからね」
私「何だと、その言い草は。別にいいじゃないか、蓋をしておいた。」
妻「臭いものには蓋・・・ですか?」
私「・・・」
○ 若かりし想い出
お爺さん「若い頃は二人でよく映画を観に行ったね」
お婆さん「そんな頃もありましたね。もう記憶がずいぶん薄れて来ましたけど、楽しかったですよ」
お爺さん「たしか、最初に見たのは『風と共に去りぬ』じゃったように覚えているが、あの映画には感動したな〜」
お婆さん「あ、そう言えば『ローマの休日』を見たのを思い出しました。何とかペックとあの女優さん、え〜っと何とか言いましたよね。オートリ何とか?」
お爺さん「グレゴリラ・ペックとオンドリヤァー・ピップエレキバーンだったと思うよ。」
お婆さん「お爺さんは記憶力がいいですね。まだまだ頭がしっかりしているから、あたしゃ安心ですよ。」
お爺さん「今でも覚えているが、あの映画を見たのは桜の季節で、映画を観た帰りに夜桜見て、木陰で初めてのチューをしたよね。あん時のお前さんはオットリ・ヒップパンパンに負けぬ気品と色気があったよ」
お婆さん「そうでしたの。恥ずかしい〜、木陰でキス?そんなことがありましたか、覚えていませんね。神社の裏でキスしたのははっきり覚えていますよ〜と言うか、あら、いやだ、やっぱり、かかか勘違いですわ。『風と共に去りぬ』は覚えていませんが、『ローマの休日』を見たのは真夏だったと思いますよ。あの映画のように一緒にスクターに乗ってみたいって言ったら、お爺さんはスクーター買って、二人乗りしてくれたじゃないの。本当に優しかったわ」
お爺さん「神社の裏で?それと、わし、スクーターを買ったか?もう、覚えてないなぁ〜。三輪トラックや耕運機は買ったけどなぁ。でも、お前がそう言うなら間違いな。あっ!今、思い出した。夜桜の後、当時の下宿屋にお前を誘ったんだけど、その時に確かこう言った。
『俺んちに来ないかい?彼と共に去りぬ?』なんてね。
そしたら、お前は大笑いして、『又、今度ね』と言いおった」
お婆さん「あたし、そんな事言ったんですか?お爺さんの方が物覚えがいいですね。肝心な所を忘れてしまって嫌ですわ。あたしの方が物覚えが悪いみたい。おほほほ」
お爺さん「今度、久し振りに映画に行くか?」
お婆さん「そうですね、行きましょう」
と言う訳で、懐かしい昔話に花が咲いたのであった。
所々で記憶が欠如しているが、この会話には大きな間違いがあった。
この2つの映画を見に行った相手はそれぞれ別人だった。
二人とも恋多き時があったのだ。
肝心な所の記憶がお互いに欠如しているので会話が何とか無事につながりました。(^^)
記憶は「加齢と共に去りぬ」かもしれませんが、都合の悪い部分ではとぼけたふりをしていることも多いようです。
今さっきの事はすぐ忘れても、古いことを鮮明に覚えていたりもします。
余計なものは忘れ物にした方がいいのかもしれません。
♪ローマの休日「Roman Holiday」2:56 映像付
https://www.youtube.com/watch?v=JKcWRcZu1t4
※ 「シュウキンペイを避ける」に拍手、コメント頂き有難うございます。篤く御礼申し上げます。
今回もいつもの如く稚拙な小話でした。
「おち」が決まった時が一番いいできかと思います。
でも、それが難しいのです。ストーリー展開で引っ張って、いかに落とすかが思案のしどころです。単なる言葉遊びはその点、意外と簡単です。元ネタがありますからね。味付け加工すれば何とかなります。とは言え、まだまだ修業の身ですから偉そうなことは言えません。やはり、上手な落語家の噺をたくさん聞くことでしょうね。
さて、落語は「おち」(さげ)で話が終わりますが、それらには幾つかのパターンがあります。
「地口おち」は洒落になっているおちのことで、駄洒落の多用はあまり面白くないですが、結構使われていますね。私も駄洒落はよく使いますが、どちらかと言えば話そのものでおとしたいと思っています。「ぶっつけおち」「考えおち」「間抜けおち」などもあります。その話は、又、別の機会にでも。
余談が長くなってしまいました。ここまで読んでくださった方に感謝致します。
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腋臭
私は若い頃、腋臭が強かったのですが、「銀+入りの消臭剤」を使い始めてから臭わなくなりました。
でも、枕や下着を脱ぐと、子供の頃臭く感じた親父の臭いと同じものを感じます。
私はコロンならば石鹸の香りが好きです。
タンス内の下着やタオルには石鹸を置いています。
香りが移って着替えの時に清清しい気分になりますよ。
「ハヤシライス喰ってもカレー(加齢)の臭いがするぞ」なんてギャグを昔、使っていました(笑)
臭いを匂いでごまかしています。
「臭いものにはフタ」の精神です。
2020/04/12 16:07:03
カレー臭
今日は〜!
今日の3作はうまく「オチ」を落としていますね。
私的には「香りの家」の”私””が私にダブります。
なにしろ、自分自身は気がつかないのですが、
加齢臭が華麗に香るらしく、
オーデコロンでごまかしています。
風呂では一生懸命に洗っているのですが。
2020/04/12 15:36:19