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独りディナー
ベートーヴェンの像
2019年04月05日
テーマ:ウィーン
最終日の日曜日は、まず教会へ行った。
夕方の飛行機を予約したのは、半日はウィーンで過ごしたい、と思ったからだ。
九時頃になって、街の中心にあるシュテファン大聖堂に向かうと、近づくに連れて、周囲を圧倒する様な鐘の音が聞こえてきた。
西洋志向の強い私にとって、鐘の音があちこちから聞こえる環境は、とても好きである。
日本人の私には、それが現実離れした世界の様に思えるからかも知れない・・。
でも、西洋の村とは、教会の鐘が聞こえる範囲で成り立っている、と読んだことがあるから、現実離れというのはむしろ、逆の発想だろう。
吸い込まれるように、聖堂に入っていった。
朝のミサで弾いていたのは、余り慣れていないオルガニストのようで、横に立っている人が、アドバイスをしている様に見えた。
10時からの、本ミサ(?)には、ゲストの男声合唱団が参加していたし、神父様の数も多く、規模がかなり大きかった。
後ろの方の席に座ったので、大柄な人達揃いの影に隠れて、前方の祭壇で何が行われているかは、よくは見えなかったけれど・・。
でも、特に信仰深くも見えない、上品な二人連れの若者とか、ちょっと貧しげな家族連れとか、杖を付いてやっと教会に来た様な老人とか、様々な背景の人達が、床にひざまずいたりする様子は、中々感動的だった。
主席オルガニストは、今回は余り出番がなかったせいか、後奏でいかにも難曲風の壮大な曲を演奏していた。
最後のランチは、又「ウィーンの森」へ行き、ヌードル入りのチキンスープを注文した。
美味しいパンと、白ワインもおかわりして。
ホテルへ戻る途中、ベートーヴェンの像がある、小さな公園に寄った。
住んでいた頃は、ベートーヴェンを眺めながら、よく長い間ベンチに座っていた、若かった私のお気に入りの場所である。
見納め、と思い写真を撮っていたら、東洋系の男性が
「こちらの像も、ベートーヴェンですよ」と話しかけてきた。
知らない人だし、我が儘なシニアは、
「あぁ、私は、このベートーヴェンの銅像が好きなのです・・」と、まあ冗談めかして答えると、
温厚そうなその人は、
「日本の方ですか?」と聞いてきた。
その男性は、当日のウィーンフィルを聴いてきた帰りらしく、ちょっと高揚気味にウィーンの素晴らしさを語り始めた。
誰かに、話したい気分だったのだろう。
私も、10日間くらい日本語を使っていなかったし、結局ベートーヴェン像の前で、かなり長い間、立ち話をした。
よく晴れた、暖かくて気持ちの良い日だったので、そのおしゃべりはとても楽しいものだった。
「毎年のように、音楽会を聴く一人旅を続けていて、今までは、同じ場所には行かない様にしていましたが、ウィーンはこれから何度も来そうです」
それを聞いて、私はまるで自分の街が褒められたかのように、嬉しくなったのだった。
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心残りが無い
欲深い私は、中々この言葉が使えませんでしたが、
年齢もありますが、まさに心残りの無い旅でした。
もう一度、訪れたい、味わいたい、と言う気持ちは殆ど全て叶えられました。
2019/04/06 17:23:43
シーシーさん
思い出のある町ウイーンで、素晴らしい時間を過ごすことが出来たのは、とても良い旅でしたね。
それにしても 遠い異国の「若かった私のお気に入りの場所」を再び訪れることが出来るなんて、何と感動的なひと時のようです。
その時のシーシーさんの気持ちが、
良く伝わってきました。
2019/04/06 15:17:55