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独りディナー
「ためらわないで・・」
2018年10月29日
テーマ:シニアライフ
自分へのスペイン土産は、アンチョビの瓶詰めだった。
最後の夜にバルで食べた、アンチョビのタパスの美味しさが忘れられなくて、翌日の朝食で、添乗員さんに訊ねたのだった。
黒パンの上に、たっぷりのキャマンベールチーズが乗っていて、その上にアンチョビが・・。
それは、私も良く作る、クラッカーの上にクリームチーズと、アンチョビを一切れ、最後にケッパーを一粒、というアペタイザーとは、まさに「似て非なるもの」であった。
添乗員さんのお話では、その辺でとれるアンチョビは、世界で一番美味しいと、言われているそうであった。
それから私は、サンチャゴの空港で瓶詰めを買い求め、LINEで娘に聞くと是非欲しいというので、乗り換えのマドリードの空港でも、更に買い求めたのだった。
美味しいキャマンベールと一緒に食べたいと思い、ネットで注文した。
どうやら、受注輸入なのか、三週間ほどして数日前にやっとそれが届いた。
フランス製キャマンベールチーズが、1キロ。
普段は食べない黒パンも、それに合わせて買い求めた。
さて、丁度出来上がったときに偶然、スペイン旅行でのお仲間からLINEが入った。
早速写真に撮って、LINEで送った。
翌日の日曜日。
私はいつも、礼拝前の入門講座に顔を出す。
迷った挙げ句、思いきって私は、タパスの材料を持参して、少し早めに出かけたのだった。
お部屋に着いて、お皿に黒パンを並べていると、旅仲間でもあった牧師先生が「懐かしい匂いですねえ」と、言いながら入っていらした。
少し遅れて、昨日LINEで写真を送った、もうひとりの旅仲間も現れた。
七人くらいの、入門講座で皆さんに振る舞っていたら、旅仲間の人が、アンチョビの説明をしていらした。
そしてそれは、丁度良いスペイン旅行の、簡単な報告会にもなったのだった。
その日、午前中の礼拝では、余所の教会からいらした牧師先生のお説教があった。
私はいつも、専任の牧師先生のお説教を聞くために教会へ通っているので、夜の礼拝に再度伺うことにした。
10人にも満たない様な、夜礼拝の参列者のために、先生はいつも通り深い話をなさった。
「神は人を分け隔てなさらない」という聖書の言葉が、テーマとして予告されていたけれど。
むしろ、その前に出てくる「ためらわないで・・」という言葉が、テーマのようであった。
それは、まるで私に向かって語られている気がした。
「ためらい」は、私の専売特許なのである。
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