メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

独りディナー

「羊と鋼の森」 

2018年10月26日 ナビトモブログ記事
テーマ:映画

良い映画だった。

先日見たキムタクの映画「検察側の罪人」が、余りにも原作と比較すると、脚色に難があったので、今回も余り期待はしていなかった。

原作は、著者がピアノや調律のことを、実によく知り尽くしていて、納得できる作品だっただけに。


文字で受け取るのと、映像で受け取るのは、こんなにも違うのか、と言うのが第一印象であった。


子供の時から私は、きっと沢山のピアノが置いてある環境に、何となく憧れがあったのだと思う。

それは、潜在的に、であって、日常では余り考えないのだけれど・・。

ずっと昔から、自分の家に何台ものピアノが並んでいてわくわくしている、という夢を、数限りなく見てきた気がする。

それらは、古い年代物のアップライトピアノだったり、ぴかぴかのグランドピアノだったり、様々なのだけれど・・。


だから、主人公が楽器店に勤務して、お店に何台ものピアノが置いてある場面は、童心にかえってちょっと心が躍った。

どうやら、場所が北海道らしいのも、故郷と重なったのかも知れない。


原作が、特別長編では無いから、ここぞ、と思われる場面はカットされずに、それなりに大切な言葉として、表現されていたし。

本で読んでいたときは、

ピアニストになろうと、決心した女子高生が、お母さんに、

「ピアノで食べていくのは、大変な事よ」と言われて、

「ピアノで、食べていくなんて思ってない。

ピアノを食べて生きていくんだよ」

と言うのが、私の中でハイライトだったけど・・。


今回は、多分心的トラウマでピアノが弾けなくなった、かの女子高生の、双子の姉妹が言った、

「ピアノを弾く人なら、わかると思うけど。ひとりなんです。

弾き始めたら、結局はひとりなんです」

というのが、最もひびいた言葉であった。


そして、彼女はひとりで弾くピアニストを支えていく存在として、調律師を目指すのだ。


私も、人生の中で様々な調律師さんに出会ってきた。

特に、ウィーンでは、当地の銘器「ベーゼンドルファー」を作っている会社に勤めて居た、調律師の友人が居た。

当時、留学生仲間は皆、演奏にしろ作曲にしろ、音楽を表現する人達ばかりだったので、一緒に仲間で飲んでいて、彼の中に葛藤はあるのかも知れない、と何となく思っていた。

でも、この作品は見事、調律という仕事の意義に、解答を与えてくれた。


主人公は、私の知らない若い役者さんだったけれど、それだけに、先入観が無くて、純粋に自分の道を歩んでいく青年像が、爽やかであった。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

彩さん

シシーマニアさん

バレーだとか、音楽だとか、専門技術を必要とされる映画に対して。

往々にして「あんなことは、あり得ない」と、プロっぽく言いたがる人が居ますよね。

基本的に、私はそういう見方はしたくない、と思っていますが。

そういった面も含めて、この映画は「琴線に触れました」

原作の方が、私には直接的に伝わりましたけれど。

2018/10/27 08:51:47

Reiさん

シシーマニアさん

コメント、ありがとうございました。

私と、逆バージョンだったのですね。
それも面白い、と思いました。

つまり、映画が先だと、表層的な映像の美しさが、優先されるのかも知れない、と思いました。

小説が先だと、著者の趣旨を、どのように映像に載せていくのか、という視点に立ってしまいますものね・・。

2018/10/27 08:46:48

琴線に触れる

彩々さん

この映画は、少し前に上映されて
いたものですよね。

私はタイトル名から受けるものによって
映画館まで足を運ぶか、否かを決める
ようで「羊と鋼の森」は、その名の通り
堅苦しいイメージしか感じられず、DVDが
出るまで待てる作品だと思ってしまった
のでしょう。

でも、シシ―さんの表現力と、映像まで
浮かんで来るような描写力に引き込まれます。

シシ―さんのピアノと共に生きて来られた
その道すがら(?)まで伝わってきます。

その感想から「琴線に触れる」という
言葉が浮かびます。

この映画作品名を再度、見直して
納得しました。

Kindleでこの本を読んでみます。

2018/10/27 05:23:40

調律師

Reiさん

私は映画を観て、本を読みました。
お陰様で、調律師という仕事がよーくわかりました。
ピアノには必要なものなのですね。

主人公の山崎賢人さんは、とてもよかったですね。
すぐにファンになりました。

そのあと彼は「グッドドクター」というテレビドラマに出ましたが、それも毎週楽しみに観ましたよ!

2018/10/26 21:56:10

PR





上部へ