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独りディナー
ボタフメイロ
2018年10月11日
テーマ:シニアライフ
巡礼の旅のハイライトは、何と言っても「ボタフメイロ」であろう。
サンチャゴの大聖堂のミサが終わった後、時折なされる儀式である。
天井からつり下げられた大きな壺の様な香炉(1・5メートルの高さ、53キロの重さ)が、八人の修道士達の持つ、太い綱に支えられながら、側廊から側廊まで、大きく揺らされるのだ。
由来は、長い旅で汚れた巡礼の人々の、悪臭を緩和するための、香炉だという。
オルガンの響きに合わせて、大きな香炉が揺れ動く様子は、その速度の早さも相まって、壮観である。
これは、毎日では無くて、何かの記念日とか、寄付などがあった場合にのみ、行われるという。
歩いている途中、添乗員さんに訊いてみたら、「今回のツァーでは寄付をしているので、見られます」とのことだった。
これぞ、ツァーに参加した甲斐があった、というものである。
サンチャゴには、他の方々より二日早く、有志四人がタクシーで先乗りして、土曜日の修道女達の「夕べの祈り」を聴きに行った。
その後、大聖堂のミサもちらと覗いて、私は翌日の日曜日は歩くのはやめて、ミサに参加することに決めた。
日曜日のミサには、できればお邪魔してみたい。
朝、皆さんが歩きに出かけた後、タクシーで大聖堂へ向かった。
まず、9時のミサである。
私は、主祭壇の前の席に、素知らぬ風を装って腰かけた。
幸い、韓国から来たグループが周囲の席を埋めていたので、その中に紛れ混んでセーフだった。
韓国からの人々は、熱心な信者さんが多いと、聞いていた。
荘厳なオルガンの調べが、真上から聞こえて来て、ミサが始まった。
ミサそのものは、スペイン語なので、勿論わからないが、途中でどうやら、前後左右の人達と、握手をするらしい。
今回の旅ほど、大勢の見知らぬ人達と握手したのも、珍しい体験だ。
そして、予期せぬうちに、「ボタフメイロ」が始まった。
熱心な、韓国の方達が、寄付したのかもしれない。
突然だったので、圧倒されたのは言うまでも無い。
終わってからの後奏が、何とあの有名な、バッハの「トッカータとフーガ」
「おお、西洋だ!」と一人で感動した。
12時のミサまで、二時間くらい時間があったので、外に出て、カフェに入った。
教会には、トイレは無いだろうし、と思って・・。
それまで、新聞を読んでいるおじさんしか居なかったカフェに、私が入ると、どやどやと観光客風のグループが続いた。
観光地とはいえ、日曜日の午前中で、まだ他のお店は開いてなかったのかもしれない。
ゆっくりと、チョコレートケーキなどを頼んで、くつろいだ後、又大聖堂に戻った。
次のミサが始まるまで、30分以上あるのに、もう人で一杯だった。
主祭壇の前には、聖職者の服装の団体が、大勢座っている。
これは、間違いなく又「ボタフメイロ」に、出会えるなと思って、私は回廊の中でも、見やすそうな柱の横に立っている事にした。
12時からのミサが、どうやらメインなのだろう。
大勢の神父様達の先導の後、司教猊下が厳かに中央の通路から登場した。
スペイン語だから、何もわからないながら、ミサそのものには、気合いが入っていた様に思う。
オルガンの響きも、一層華やかであった。
只、此処ではアカペラで始まる前には、まずオルガンで音出しをしていた。
それが伝統なのか、或いは、偉い方のご都合なのか・・。
ルーゴの大聖堂の様に、音楽的な驚きは無かったし、全体に素晴らしい声の人がソロで歌う事が多かったけれど、音程に関しては、やや居心地の悪さを感じた。
ルーゴが、特別だったのかもしれない。
そして、ミサが終わり、当然の様に「ボタフメイロ」が始まった。
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