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オルガン 

2018年10月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

私が今回巡った教会は、いずれも古い教会だったせいか、建築されたときには、オルガンはまだ備えられていなかった様である。

例えば、12世紀の建築であるルーゴの大聖堂の場合、オルガンは18世紀に備えられたそうで、装飾はバロック形式なのだ、とエステルさんは説明してくれた。

広い教会の中心にある、主祭壇の後方で、上部にオルガンはあった。

サンチャゴの教会も又然りで、主祭壇の会衆席の真上の、両側の壁から、パイプが突き出ていた。


通常、オルガンは、様々な太さのパイプが縦に並んでいるものだ。

横に突きだしているのは、スペイン・ポルトガルの教会の特徴である、と添乗員さんが説明していた。

想像だけど、それは後付けの為、空間にしかパイプを備える場所が無いから、なのかもしれない。

サンチャゴの大聖堂では、オルガン奏者が何処で演奏しているのかも、見えなくて、結局整理をしている人に尋ねてみた。

オルガンの影の、下からは見えない場所に、鍵盤があるらしかった。


サンチャゴの大聖堂の日曜日ミサは、私の知る限り4回あった。

12時のミサの後に、名古屋からいらした敬虔なクリスチャンの方と、合流する予定だった。

しかし、その時間は余りにも人が多くて、私は早々に諦めて、一人でお昼ご飯を食べに行った。

今回は、娘の勧めで、持参したスマホは、パケットパック海外オプションの契約をしていたので、日本へはもとより、現地でも常にお仲間とLINEで繋がって、便利であった。


その方は、他の皆さんより一足早く、マイペースで歩いて、一番乗りで到達されたのだった。

歩きをスキップして、タクシーで乗り付けた私とは、天と地ほど、感慨の質が違っただろう。

昼食後に、出会った時は、達成感の喜びに溢れた、実に良い表情をしていらした。

12時のミサで、聖餐に与った、とおっしゃていた。

暫くして始まった、6時のミサでも、聖餐の為の列に並んでらして、その後ろ姿を見ながら、何となく感動した。


その日の歩きの行程を予定通り終えられた牧師先生は、8時のミサの前に合流された。

その時間のミサは、神父様の数も少なくて、こじんまりしたものだった。


オルガンのお好きな先生は、辺りを見回しながら

「何処で演奏するのでしょうかね」と仰るので、私は物知り風に、

「あの、コーナーの後ろだそうですよ」と教えてさしあげた。


ところが、ミサが始まって暫くすると、先生が、

「オルガンは、祭壇の横で弾いてるみたいですよ」と仰る。

確かに、電気オルガンの前に座ってる人が、弾いている様子である。

ミサが終わって、そこに行ってみると、若い男性が楽譜を前にして座っていた。


「あなたが、此処で弾いていたのですか?」と訊ねてみると、

「私はまだ、パイプオルガンを弾くのは許されていないのです」という答であった。

「此処で弾いて、音はどこから出ているのですか?」と重ねて聞くと、パイプの横に大きなスピーカーがあるのを、指さしてくれた。

「パイプオルガンを弾くのと、このオルガンを弾くのと、大きな違いはありますか?」と、違いが無いことは知りつつも、話題を繋げる為に聞いてみると

「全く違いません。只、音質が異なるだけです」とその若いオルガニストは、心なしか、気弱そうに答えてくれた。


教会の中の、厳然とした、様々な階級が、垣間見えた気がした。



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