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スキップ版「巡礼の旅」、その一 

2018年10月06日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

スペイン巡礼の旅を無事終えて、数日前に帰宅した。


今回は、初めてツァーに参加したのだが、結果として非常に功を奏したと思う。

何と言っても、荷物の問題。

自宅から、成田空港までの往復を、宅配便で運んでくれるのは、シニアとして大変有り難かった。

帰途の荷物を、宅配便に依頼することは今までもあるけれど、往路は、何かのトラブルがあると困るので避けていたが、今回は旅行社の手配だったので、それは大きな安心材料となった。

現地で歩いている間も、基本的に荷物は旅行社が運んでくれるので、リュックの中に入っているのは、パスポートと雨具くらいで、負担が少なくて助かった。

観光は一切無く、ひたすら歩くというコースなので、総勢9名の参加者も、皆さんユニークな方ばかりで、実に楽しい時間が持てた。


私にとってこの旅は、第一にスペインのバルを味わう、第二に本場の教会のミサに参列する、そして第三が歩くこと、だったので、その意味から考えると、満点の充実感であった。


サンチャゴ・デ・コンポステーラまで、巡礼路の最後の100キロを、七日間で歩くというコースであったが、私は三日目と六日目をスキップして、気ままに過ごしたのだった。


最初のスキップは、連泊していたルーゴの街が素晴らしかったので、朝皆さんとお別れして、街に留まった。

まず、カテドラルの朝9時のミサに参加した。

前日、夜に見物に来たときは、鍵が閉まって居て中に入れなかったが、内部は規模も美しさも素晴らしくて、主祭壇の他、小さな祭壇が五コ位あるらしかった。


9時のミサは、高齢の神父様がお一人で司式していらして、いかにも街の人達の為のこぢんまりした集会、といった印象だった。


ミサの後、ローマ時代に築かれた、今は世界遺産に登録されている城壁の上を、歩いてみた。

幅が4〜5メートル位あって、散歩道になっている様であった。

上から見ると、城壁の中と外では、結構貧富の差がありそうだった。

お庭や住居のメンテナンスが良い、旧市街の内側に比べると、外側はごく普通の庶民のアパートに見えた。

1周すると、2.5キロ程度だっただろうか。


又カテドラルの前に戻ったので、くたびれた身体を休めるために会堂に入ると、丁度ミサの最中であった。

朝のミサとは違って、神父様の数も多く、オルガンの音色も聞こえた。

お国柄なのか、私が行った教会では、合唱では無くソロで歌うパターンが、大半だった。

素晴らしい声のソロが、まずアカペラで始まり、其処に途中から加わるオルガンの音程が、ピタリと合っているのには、感嘆した。

ヨーロッパでは、絶対音感は別に珍しく無いのかもしれない・・。


ミサが終わって、何となく椅子にゆっくりと腰掛けていたら、

「どこから来ましたか?」と、中年女性に声をかけられた。

「日本から来ました」と答えると、

「これから、サンチャゴ・デ・コンポステーラへ行きますか?」と続けて聞かれた。

そして、「私、少し日本語、話します」とその女性は言う。

胸には、カードをぶら下げていたので、どうやらカテドラルの内部の人らしかった。


「巡礼のスタンプ、押しますか?」と聞かれたので

「はい」と答えると、

「付いてきて下さい」と言う。

教会内だし、危険は無いだろうと思い、付いて行った。


其処が、スタンプを押す場所なのかどうか、付いて行くと神父様の控え室の様な部屋で、引き出しからスタンプを出してくれた。

私達が参加している、この巡礼の旅は、途中様々な場所で巡礼手帳にスタンプを押して貰い、最終目的地で、歩き通しました、という証明書を貰うシステムになっているのだ。


それから、そのエステルさんという女性は、カテドラル内を色々案内してくれて、聖人に序せられた当教会の司教だった方の像とか、五年前に亡くなった前代の司教のお墓などを案内してくれた。

エステルさんはバルセロナで、竹中工務店に勤めていたそうで、「もう、日本語は忘れました」と言って、そのうち会話は英語に戻ったので、今度は私の都合で内容はごくごくシンプルになったけれど・・。


カテドラルを出て、オープンカフェで飲み物を頼み、絶対音感の話題を、大学の友人にLINEで伝えると、たちまち返事がきた。

「そうなのよね。私もイタリアの田舎で、男性のコーラスを聴いたけど、アカペラで音程がピタリ!田舎のオッサンのコーラスだよ」

日本では、クラシックのコンサートでも、最初に声から始まるときには、伴奏楽器がまず音出しをする、というのが習慣になっているのだ。

友人とLINEで、共感しながら、私の気儘な半日は、ゆったりと過ぎていった。



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予想以上に楽しい旅でした

シシーマニアさん

最初から、皆さんとは別行動の日を設けるつもりでしたが、添乗員さんの鷹揚な対応のお陰もあり、かなり自由な旅になりました。

幸か不幸か、宗教的な影響を受けることはありませんでしたが、計10数回色々な教会のミサにお邪魔して、教会文化に触れた充足感がありました。

大聖堂で聴く、オルガンの音色の響きには、圧倒されました。

2018/10/07 00:15:45

楽しそうですね

パトラッシュさん

想定外のことが起きる。
それが旅というものです。
人と会う、話をする。
それが楽しいのです。
ツアーを離脱して見るのも、一策です。

どうやら、豊かな旅になったようですね。
慶賀に耐えません。
紀行文としても、よくまとまっています。

2018/10/06 16:18:53

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